あたしは毎年パパにクリスマスカードを送る。
喜んでくれないのはわかってるけど、もはや意地みたいなもんだ。
カードを送った次の日、急にパパから電話があった。
「お前カード送ってきただろう。」
パパから電話なんて何年ぶりだろう。
「パパ、カード見てくれたの?」
「見るわけないだろう。」
そう言って電話を切られた。
何があったんだろう?
*この問題は亀夫君問題です。
「あたし」に質問して、真相を明らかにしてください。
YES/NOで答える質問以外の質問もできます。
*この問題文は、「カードますか?」に投稿できなかったものです。
「ますか?」問題文同様、自由にリサオマしていただいて結構です。
転載元: 「On the 12th day of Christmas 〜ますか?outtake 2〜」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/6764
パパと絶縁した「あたし」ことクリスは、毎年香水をつけたクリスマスカードを送っていた。
パパの中では「香水の香りのする郵便物=クリス」だった。
しかし、今年に入ってからパパは目が見えなくなっていた。
だから「当然見るわけもない」のだが、それはクリスからのカードだろうとあたりをつけ、クリスに確認の電話をかけた。
(もちろん真意は確認だけではありませんが、FA条件とはしていません。)
あたしはクリス。29歳。
パパがつけてくれた名前はクリストファー。
あたしはその名前が嫌で、みんなにクリスって呼ばせてたの。
でも、パパはドレスを着てヒールを履いてるあたしが嫌いだった。
何より、女物の香水をつけているあたしが大嫌いだった。
だから、17で家を出たの。
ひとりで頑張って、バイトして、通信で大卒の資格取って、好きなファッション業界のプレスになった。
ずっと家には帰らなかった。
最初は、一人前になるまでは帰らない、ってつもりだったけど、だんだん帰ること自体が怖くなってきたのよね。
それでも、毎年のクリスマスカードだけは送ってた。
そう、パパの大っ嫌いな、女っぽい香水を目一杯振って。
きっと眉をひそめるに違いない。届いた瞬間に破り捨ててるかも。
でも、あたしが女として筋を通してる、その意地みたいなものね。
だから毎年、その時自分が一番気に入ってる香水をつけて送ってたのよ。
…知らなかったわ。今年に入ってから、パパは急激に視力が落ちていたって。
クリスマスカードが届く頃には、もうほとんど何も見えなくなっていた。
でも、毎年のことだから、香水の匂いがする郵便物が届いたら、あたしのカードだってわかってたんだね。
あたしの心はもう決まっていた。
1月6日、12年ぶりの実家。
ドアを開けたら、だいぶ小さくなったパパが座ってた。
机の上には、野球のユニフォームを着たクリストファーの写真と、2年前ファッションプレスアワードを取った時のクリスの写真、それと12通のカード。
あたしの香水に気付いたパパがこっちを振り返る。
「なんだシンディ、今年はクリスもう一通カードを送ってきたのか?」
「…違うよ。パパ。ただいま。」