バニラ、ストロベリー、チョコレート。
特急の車内でアイスクリームを売る販売員たち。
彼女たちは、カード決済が浸透してきたことに喜んでいた。
だが、ある女は、もっと早くカード決済が普及してくれればよかったのに、と思った。
どうしてだろうか。
*この問題文は、「カードますか?」に投稿できなかったものです。
「ますか?」問題文同様、自由にリサオマしていただいて結構です。
転載元: 「no plastic money anymore 〜「ますか?」outtake〜」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/6754
Blancaは、国際特急の車内販売員。
Blancaが乗務する特急は、4カ国から5カ国を経由する。
Blancaがこの仕事を始めた頃、それぞれの国は、別の通貨を採用していた。
当然だが、販売員は、停車するすべての国の通貨に対応しなければいけない。
それらの国の貨幣を全部覚えておくのはもちろんのこと、それぞれの単位での値段を確認し、その通貨でのお釣りを計算して渡すというのは、アイスクリーム一つ売るだけでもなかなか一苦労である。
その後、特急が停まる国々は、全て統一通貨に統合された。
そのため、車内で扱う貨幣も単位も1つとなり、販売員の負担は圧倒的に軽減されたのである。
複数通貨時代を知らない最近の若い販売員たちが、
「お釣りとか計算しなくて楽〜」
「ピッてやるだけだしね」
とカード決済を歓迎しているのを耳にするたびに、
(いやいや、私の若い頃はそんなもんじゃなかったよ?1通貨でいいなんてあんたたち楽してるんだから…なんてこと言ったらお局確定よね、気をつけないと。)
と言いたいことを必死で抑えつつ、複数通貨時代にカード決済が導入されていればどんなに楽だったかと振り返るお局美魔女販売員のBlancaであった。