男は、鶯の鳴き声にはほとんど見向きもしませんでしたのに、カッコウの鳴き声には反応したのであります。
いったい何故でございましょう?
※メトロノームさんの問題文(No.1)のオマージュでございます。
転載元: 「【鶯ますか?オマージュ】鶯とカッコウでございます」 作者: 灰色ヤタガラス (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/674
男の趣味は、鳥の鳴き声集めでございます。
好みの鳥の鳴き声を映像とともに動画形式で録音しましては、動画サイトにアップしましたり、自分で視聴して楽しんだりしておるのです。
春先である最近のターゲットは、「鶯」でございます。
見た目はオリーブ色(暗い黄色)でやや地味ではありますが、春先の鳴き声の美しさは「日本三鳴鳥」と呼ばれておりますように有名でありまして、男はその「ホーホケキョ」と美しくさえずる声を録音するのであります。
しかし、人間の声に差がありますように、鶯の声にも、鶯の鳴き声をたくさん聞きますうちに、男の耳には差があるように聞こえてまいりまして、そんじょそこらの鶯の声では満足しなくなってしまいましたのです。
(もっと美しい鶯の鳴き声が聞きたいのであります)
(鶯の鳴き声には、もうほとんど見向きもしないのでありますが、それは相手がただの鶯であることが多いからでありまして、あくまで「ほとんど」であり、100%ではなく、反応するような鶯の声がきっとあるはずなのでございます)
男がそう思っておりました時、ちょうど近くの木に一羽の鶯が舞い降り、鳴き始めたのでございます。
「ホー、ホケキョ。ホー、ホケキョ」
それを聞きまして、男の敏感な耳は、これまで聞いてきた鶯とは違う美しさをその鳴き声に感じ取りまして、
(これであります!こいつは、恰好(かっこう、カッコウ)の鳴き声でございます!)
と反応いたしまして、その鶯の動画を、鳴き声とともに録画し続けたのであります。
動画サイトにアップされましたその鶯の鳴く動画に対しまして、男の「この鶯は並の鶯の鳴き声とは違うのであります」との感想に共感する者はあまりおりませんでしたが、それでも男は動画の出来にたいそう満足していたのでございます。