11月。山が美しく色づき始める季節。
観光客で満員の電車の中で、なぎさは車窓を眺めていた。
はしゃぐ親子連れや、写真を撮る女性客もいる。
ふとボックスシートに目を落とすと、ナイスミドルの男性も写真を撮っていた。
きちんとしたスーツ姿の男性だったので意外だったが、なぎさはその男性から目が離せなくなった。
男性の方もなぎさに気が付いた様子だった。
一瞬目があった二人。
でも、男性は次の駅で降りてしまった。
なぎさは今でもこの日のことを少し後悔している。 どうしてだろうか。
*11月26日(金)24時ごろ終了の予定です。
転載元: 「he was gone when autumn came」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/6660
「聞いて〜今朝最低だった」
「どうした」
「最近観光シーズンで電車混んでるでしょ?だから座れなくて、ボックスシートの横に立ってたんだけど」
「うん」
「前に結構イケメンのスーツ姿の男が座っててさ。お?と思ってちょっと気になってたんだけど」
「うん」
「そうしたらそいつ、スマホ見てるフリして前で寝てる女子高生のスカートの中写真撮ってて」
「うわ、ひど」
「こんなきっちりスーツ着た真面目そうな人が、って意外だったんだけどじーっと見てたらそのうち気付いたらしくて」
「で?」
「目が合ったんだけど、そうしたら慌ててスマホしまって次の駅で降りてってさ」
「まじか」
「よほど『盗撮してましたよね?』って言って駅員さんに突き出そうかと思ったんだけど、写真消されちゃってたら終わりだし」
「だよね」
「今日朝から会議だし。それで遅れるとか嫌じゃん?」
「まーねー」
「でもなんか見逃しちゃったみたいで気分悪い。あと男性不信になる」
「確かに〜」