とある青年グレゴリー・ザムザは、ある朝自室のベッドで目覚めると、巨大な毒虫に変化していた。
ザムザには、その原因がさっぱり分からなかった。
しかし彼は、自らの変身に全く心乱されることはなかった。
いったいなぜ?
*Q3 アシカさんのリサイクルです。
転載元: 「【変化ますか?リサイクル】Don't stop to ask」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/6614
ザムザは毒虫に変化していた。身も心も。
毒虫には、知性も、感情も、記憶もない。
だから、当然原因などわかるはずもなければ、心乱されることもない。
それだけのことである。
急に行方が分からなくなってしまった人間というのは、案外そんなものなのかもしれない。
今朝あなたが叩き潰した蚊。
払い退けた小蝿。
スプレーで凍らせたG。
それは、どこに行ったか分からない、誰かの、あなたの、大切な人だったのかもしれない。
もちろん、当の虫たちにはそんな記憶はないのだけれど。