仕事で化石採掘にやってきたカメオは、小さな貝の化石を発見した。
見たことのない化石の形状に、もしかしたら新種の貝かもしれないと思い、胸をときめかせた。
しかし、カメオは目の前の化石に手を触れることすらしなかった。
採掘の許可はちゃんと取っているし、道具も完璧にそろっているし、時間も充分あったのだが、一体何故?
* No.15 名無し編集者さんのリサイクルです。
転載元: 「【石ますか?リサイクル】love that's only slightly soiled」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/6563
こっそり後で戻ってきて自分のものにしようと考えたため。
カメオは化石採掘の一作業員だ。
採掘の腕は確かだが、メンバーの中では下っ端で、給料も安い。
自分が探し当て、掘り出した化石を偉い先生方の手柄にされてしまうことが、納得いかなかった。
そんなある日、カメオは素晴らしい化石を発見した。
カメオは学術的な知識こそないものの、これまでの長い現場経験から、これがどれほど価値のあるものかは想像が付く。
カメオに悪魔が囁いた。これは、ネットで化石愛好家に売りつければ相当の値がつく、と。
胸がときめいた。
「カメオ、そっちに何かありそうか?」
教授に聞かれたが、
「こっちにはめぼしいものがなさそうですねー。地層が乱れているのかもしれないです。他をあたった方が新しい発見があるんじゃないですか?」
「そうか、カメオが言うならそうだろう。じゃあ、こっちの採掘を手伝ってくれ。」
信用してくれている教授に嘘をつくことについては少し心が痛んだが、たった小さな化石一つだ。
他に大きな発見があれば、小さな貝の化石の一つぐらいたいした問題にはならないだろう。
でも、売ればこれが少なくとも作業員1年分の給料にはなるんだ。
こっちは子供も生まれたばっかりなんだ。
夜一人で戻ってくるときのために地図にマークをつけ、カメオは教授の元へと急いだ.