もっと力が弱ければ

私は毎年夏になるとキャンプ場に行く。
中でもあまり人に知られていない穴場で過ごすのは大好きだ。
しかしその度にあの日のことを思い出してしまう。
「私の力がもっと弱ければAさんは助かっていたのに・・・」
一体何があったのだろうか？

ある真夏の日、猛暑日。
私は穴場を見つけ、キャンプをしていた。
しかしあまりに暑かったためすぐに帰ってしまった。
その後、Aさんが同じ場所にやってきた。
あまり知られていない場所だからか、Aさんはどうやらかなり道に迷っていたらしい。
道中で飲み水を使い果たしてしまい、熱中症にかかり脱水症状になっていた。
周囲に人はいなく、唯一頼れるのは目の前にあったキャンプ場の水飲み場。
しかし先程私が使用した際に蛇口を強く締めてしまっていた。
フラフラで力が出ないAさんは蛇口を開けられずそのまま倒れ亡くなってしまった。