大学を卒業した頃から、俺はかすかな不安を覚えるようになった。
直視しないようにしていた、しかし本当は、ずっと前から知っていたかもしれない現実。それは年を経ることにリアルさを増していく。
「たまには、実家にも顔を出さないか」
脳裏に浮かぶ父の姿。何を呑気なことを。あなたのせいではないか。
理不尽だと分かっていつつも、俺は父への怒りを抑えられなかった。
久々に帰省した実家は、俺が出て行った時のままだった。
「おお、立派になったな」
そう声をかける父は、俺が想像していたよりずっと変わりなく。そう、ずっと変わりなく。その事実に俺は少なからず動揺してしまっていた。
しばらくしてから、俺はあるものを見つけて悟った。父はずっと、己の運命と戦ってきたのだと。
父が俺の想像を超えていたのは、当たり前のことなんかじゃないってこと。
俺は決意した。父のように、自らの運命に向き合い、全てを失うまであがき続けようと。
さて、俺が見つけたあるものとは?
転載元: 「悲しい世界はもう二度となくて」 作者: アシカ (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/6478
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