渡り鳥の群れに3羽だけ羽根の色が違う鳥が混ざって居たので、男は羽根の着いた帽子を買わなかったのは失敗だったと肩を落とした。
何故?
*Q11 つのめさんのリサイクルです。
転載元: 「【異国ますか?リサイクル】I see the world so different now」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/6412
:色の違う鳥が混じっていることに気付けなかったことから、自分の色覚異常に気付き、店で見た帽子が欲しかった色の帽子だったかもしれないと後悔した。
「お土産は何が欲しい?」
「そうね、緑の羽のついた帽子がいいわ」
「名前に相応しくないな」
「あなただっていつも灰色の服ばかり着ているわけじゃないでしょう?」
青年貴族のグレイ伯爵は、旅行を控え、婚約者ヴァイオレット嬢と楽しく語らっていた。
旅先で、グレイ伯爵は婦人帽子屋の前を通り過ぎたが、まだ20歳そこそこの伯爵には、婦人物の店の中に入ってまで探す勇気はなかった。
薄暗い店のショーウインドウには、茶色の羽のついた帽子はあったが、緑の羽のついた帽子はないようだった。
結局、緑の羽のついた帽子は変えないまま、帰途についた伯爵は、夕暮れ時、渡り鳥の群れを見かけた。
伯爵は、従者のホワイトに尋ねた。
「あの茶色い鳥はなんという名前だ?」
「あれはウミツノメドリです。3羽だけいる、同じような姿の緑の鳥はヒスイツノメドリですね。」
「3羽だけ緑…?全部茶色ではないのか?」
「…申し上げにくいのですが、伯爵はもしかしたら色の区別が少々苦手なのではないですか?お父様がそうであるように。」
そういえば、思い当たる節はある。
父は服の色を選ぶのが苦手で、いつも母に選んでもらっていた。
私も、たまに色合わせがおかしいとヴァイオレットに指摘されていたが、男とはそんなものだろうと気にも留めていなかった。
(…そうか、ではもしかしたらあの帽子屋の帽子は緑だったかもしれないな。ヴァイオレットにお土産が買えず、悪いことをした。)