義賊とブラック企業

ブラック企業に勤めている黒川が退職を先延ばしにしたのは、ゆうべ海亀市駅で窃盗が発生したことが原因である。

海亀市駅は黒川の自宅の最寄り駅でも、勤務先の最寄り駅でもないのだが、どういうことだろうか？

この会社ではもうこれ以上働けないと思って退職を決心した黒川。自宅で辞表を書き、スーツの懐に忍ばせて通勤電車に乗りました。
しかしいざ辞表を提出するときのことを考えると、上司の怒号や今後の進退などが思い浮かび、プレッシャーで胃腸が痛みはじめました。
黒川は、どうせ退職するのだからと思い、遅刻を承知の上で途中の海亀市駅で下車してトイレに向かいました。

ところが、いざトイレに入ってみるとトイレットペーパーが切れていました。
ゆうべ何者かが海亀市駅のトイレに侵入し、トイレットペーパーを根こそぎ盗んでいったのです。
どうしたものかと途方に暮れていた黒川でしたが、懐に忍ばせた辞表の存在を思い出しました。
背に腹は代えられず辞表で用を足し終えた黒川は、辞表の提出は明日に延ばすことにして、仕方なく会社に向かうのでした。

一行解説：
途中下車した駅のトイレットペーパーが切れていたので、辞表で処理したから。