ある朝のこと、換気のために数分間窓を開けていたところ、2歳の娘のミクがじっと窓の外を見つめ、「あかいじどうしゃ」と言ったんです。
私も窓の外を見たけど、赤い自動車どころか、赤色も自動車も見えませんでした。
「どちらも見えるわけがないのに変なことを言うわね」と思いながら、私は窓を閉めました。
同じ日の昼下がり、その窓から見えるお隣の家でボヤがありました。
ミクを連れて外に避難した私は、駆けつけた赤い消防車を見て、ふと朝の出来事を思い出したのです。
まさかミクは・・・このことを予言していたのでしょうか?
何だか気味が悪いな、と思いました。
結局ボヤは大したことはなく、すぐ消し止められたようですが。
夜、帰宅した夫にミクの様子と隣家のボヤの話をしました。
夫は、窓を見て、ミクを見て、ちょっと首をひねって考えていました。
間もなく夫はミクに声をかけ、「こっち見てごらん!」と言いました。
ミクは夫の指さす方をじっと見つめ、「しろいトリさん!」と嬉しそうに笑いました。
夫は晴れ晴れとした顔になり、「予言じゃないから気にしないでいいよ」と言いましたが、私には何が何だかサッパリわかりません。
白い鳥なんてどこにもいないかったのに。
一体どういうことなんでしょう?
状況を説明して欲しいです。
転載元: 「ネガティブ」 作者: 名無し編集者 (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/5878
「もしかして、ミクが『あかいじどうしゃ』と言った時、ミクは絵本を見ていたんじゃないか?」
夫の言葉に私はうなずきました。
ミクは絵本が大好きで、声をかけても返事をしないくらい没頭して見ていることがあるんです。
「多分、その時に見ていたのはこのページだと思うんだよ。」
夫が開いた絵本には、緑色の自動車の絵が描いてありました。
「窓の外には隣の家の真っ白な壁がある。緑の自動車をじっと見てから白い壁を見ると赤い自動車が見える。そういうこと、やったことない?」
ああ、そういうこと・・・
「さっきミクはカラスの絵をじっと見つめていたからね。白い壁を見たら白い鳥が見えるんじゃないかと思って聞いてみたんだ。」
つまり、ミクが見たのは・・・未来ではなく「残像」だったんです。