男は日本で生活する日本人であるが、何故か常に片言の英語でしか会話をしない。
レストランに行っても
「アー…ハンバーガー、ワン、アンド…アー…ポテト、ワン、プリーズ」
電車に乗る時も
「アー…ゴー…トゥー、トーキョー、チケット、プリーズ」
とこんな調子。しかし、外国人に話しかけられても
「トーキョーステーション、ドコデスカ?」
「アー、トーキョー、アー、レフト。アンド…ソー…ネクスト…ドント…ファイブ、ファイブ」
「Oh…コノヒトワカンナイミタイネ」
と通じるわけではない。
男は一体なぜこんなことになっているのだろう?
転載元: 「英語の男」 作者: KY太郎 (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/5822
実は男は家では日本語を一切教わっていなかった。というのも、親が「これから日本語は不要になるから英語だけで教育すればいい」という方針で、家族は男に(片言の)英語でしか話さなかった。そういうわけで男の母語は「片言の英語」になった。
しかし、小学校に入るとそういうわけにもいかず国語を教わることになる。しかし、今まで片言の英語でしか過ごしていなかった男にとって、日本語で学校生活を送るのは至難の業だった。そういう板挟みの中で、男は日本語も英語もまったく片言のままで成長してしまった。
それで今でも男は片言の言葉のまま、それでも少しは話せる英語で何とか日常生活を送っているのである。