「旅に出ます。探さないでください。」昨日、カメコママと大喧嘩をしたカメオが、そんな書置きを残して家出した。
実際、深夜になってもカメオは帰って来ない。普通なら大慌てで探しに行きそうなものだが、カメコはカメオのことを探そうとはしなかった。
決して、カメコがカメオのことをどうでもよいと思っているわけではないのだが、それならば一体なぜ?
*Q11 ZENOさんのリサイクルです。
転載元: 「【旅立ちますか?リサイクル】Home again 'cross the sea」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/5656
「修学旅行なんて行きたくねえんだよ。子どもみたいにみんなでだらだら馬鹿みたいに」「何言ってんの。お金も払い込んでるんだし。」「勝手にしたんだろ。俺は前からそんなの行きたくねえって言ってんじゃないか。その間部屋にこもって飯も食わねえから、好きにさせろや。」「何馬鹿なこと言ってんの。」カメオは、引きこもり気味で、学校も時々しか行かない。ひとりでいるのが好きみたいだ。特に悪いことをしているわけではないので、強く非難もできないのだが、やはり親として、可愛い息子にはみんなと同じようにしてほしいし、学校の友達とも仲良くしてほしい。そんなことで、つい喧嘩をしてしまった。翌日、カメオの部屋には、「旅に出ます。探さないでください。」と書き置きがあった。良かった。こんな書き方して、でも結局あの子修学旅行行ってくれたのね。私は安心した。修学旅行に行ったのだから、もちろん心配することもない。だから探そうともしなかった。
その後、学校から、カメオが修学旅行に行っていないと連絡があった。
「あんたどこ行ってたの?」
「ごめん。でも俺の行きたい旅はこういうところだったから。ずっと一人で自転車で回ってた。」
そう言ってカメオは、旅先の海や山や街で作った、音楽や動画や写真やイラストを見せてくれた。その出来栄えを見て、私は、みんなと同じようにさせたいという親のエゴに気づかされ、カメオに好きな道を行かせようと思ったのであった。