女は二度と帰らない旅に出た。
そこに男がやって来て、女の故郷の電車の話をした。
女は泣いた。
男の言葉をきっかけに故郷に戻った女は、その電車を見た。
しかし、女がその電車に乗ることはなかった。
そして、自分は二度と帰ることがないのだと、ふたたび涙を流した。
どういうことだろうか。
NO.8 gattabiancaさんの問題です。
転載元: 「【旅立ちますか?リサイクル】それは、自身を振り返る旅」 作者: 生姜蜂蜜漬け (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/5641
女はその日、故郷を捨て旅立つことにした。
あこがれだった海の見える街を目指し、電車に乗り込む。
いつか雑誌で見たのと同じ青い輝きが、自分を迎えてくれると信じて。
しかし、いつまでたっても車窓から見える景色は山と森ばかり。
女は、ちょうど通りかかった車掌に訊いてみた。
「海亀駅? この電車は止まりませんよ?」
「新出居駅から来たんですか? ああ、じゃあ乗る電車を間違えたんですね」
「海亀駅に行くのは水平線ですよ。これは木中線です」
女は泣いた。
しょっぱなからつまづいたことと自分の方向音痴に。
その後往復2時間をかけて新出居駅に戻って来た女は、
ホームの対岸に停車していた、行きに乗ったのと同じ電車を見た。
行き先を確認し「よし、こっちじゃないな」と念押しした後、
今度はちゃんと、駅員に海亀駅行の電車まで案内してもらった。
女はその日、故郷を捨て旅立つことにした。(2回目)
あこがれだった海の見える街を目指し、電車に乗り込む。(2回目)
女は泣いた。
しょっぱなからつまづいたことと自分の方向音痴に。(2回目)