カメオは小説家。
現在、病気持ちなウミオが主人公の話を連載している。
多くの読者から好評を得ていたのだが、病名が違っていたことが致命的となり、連載は打ち切られてしまう。
どういうことだろうか?
転載元: 「風呂敷を畳めない」 作者: 生姜蜂蜜漬け (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/5615
カメオは小説家。
「ウミオ」名義で執筆活動をしている。
何日か、腹部の痛みとだるさを感じていたカメオは、病院へ行き医師の診断を受けた。
診断結果は初期の「ウミガメ病」。珍しい病気だが、治療法は確立されている。
カメオは、ウミガメ病について自分でも調べていくうちに、
認知度の低さゆえに、周囲から辛さを理解されず悩む人が多いことを知った。
そこでカメオは、自らの入院生活や専門家のアドバイスなどをまとめ、
ブログに、闘病記「(ウミオの)腹を割って話そう」を連載し始めた。
読者からの反応は良く、
「大変そうなのに何か笑えるw ウミオさん闘病頑張って!」
「知り合いにウミガメ病の人がいます。こんなに苦労されていると初めて知りました」
「ちょっとでも変だなと思ったら病院行くようにします!」
といった、励ましや感想をもらっていた。
カメオは、病院のベンチで読者からの手紙を読んでいた。
手術が終わり、体力回復のリハビリを始めてから2週間。
だるさは抜けないが頑張らねば。読者が待っている。
決意を新たに、カメオはベンチから立ち上がった。
膝がガクリと折れ、地面に仰向けに倒れた。
身体は震えるばかりで、持ち上げようとする意志を受け付けない。
景色から色が消える。耳鳴りが脳みそを突き刺す。
何が起こったのか、カメオは最期までわからないままだった。
後日判明した真の病名は「リクガメ病」。
ウミガメ病と症状が酷似しているが、原因も治療法も全く異なる。
誤診による医療過誤だった。
「(ウミオの)腹を割って話そう」は作者急逝による打ち切りとなり、多くの読者が悲しみに暮れた。
やがてその悲しみは、世界を少しだけ動かす原動力となる。
遺族は医療過誤訴訟のコミュニティを立ち上げ、
ある読者は医大の受験勉強を始め、
またある読者は、自分の誤診の可能性に気づき命を取り留めた。
カメオは自分が起こした変化を知る由もなく。
彼のブログには、今日も多くの読者が訪れている。