子供の時からお酒に囲まれて生きてきたカメオは大人になってからも、酒に溺れる毎日であった。しかしながら、ある日、床を水浸しにしてしまってからは二度とお酒を飲む事は無かった。一体どういう事だろうか?
*Q10 バサミさんのリサイクルです。
*解説は個人的好みから元ネタがありますが、FA条件には無関係です。
転載元: 「【酒ますか?リサイクル】Cathedrals in my heart」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/5454
ベッドで寝タバコをして危うく火事になるところだった。消火のために「寝」床を水浸しにしてしまったので、流石に禁酒しようと誓った。
《ある画家のお話》
カメオに父はいない。母は芸術的才能にあふれた美人だ。母はカメオのことを愛してはいたが、それ以上に酒とタバコと男、そして何より絵を描くことが大好きだった。そんなカメオが、寂しさを紛らわせるために、母の飲み残したボトルに手を伸ばす様になったのは自然な流れだった。12歳の頃には、もう立派なアルコールとニコチンの依存症になっていた。
カメオは、成人になっても、仕事に就かず、家で酒を飲み続けた。一方、母の絵は画壇で高い評価を得るようになり、画廊主のパトロンもできたようで、あまり家に帰ってこなくなった。カメオは、自分が子どもの頃母がよく男を連れ込んでいた寝室で、一人タバコを吸いながら酒を飲んでいた。気付くと、火の付いたタバコを手に、眠りに落ちていた。
目覚めた時は、ベッドは火の海だった。どうしよう。逃げることもできない。このまま死ぬのか。
「カメオ!?」寝室のドアが空いた。そこには母が立っていた。「あんた、水持ってきて!」母は隣にいた画廊主に命令したかと思うと、あれよあれよというカメオとベッドに水をぶちまけ始めた。必死の消火活動のおかげで、なんとか火は消し止められたが、ベッドは水浸しになった。そればかりか、部屋にあった母の自信作の絵も何枚か燃え尽きていた。
「カメオ!」母はカメオを抱きしめた。「母さん…ごめん…絵が燃えちゃったよ…ベッドも水浸し…」「そんなんどうでも良い。あんたが無事なら。」
「ごめん…もう僕酒やめるわ…」呟いてふと顔を上げると、母はもう画廊主と次の個展の相談をしていた。
これでこそ僕の母だ。でも僕はこういう母が好きなんだ。と苦笑いしたカメオ。すると、母が振り向きざまにこう言った。
「ねえカメオ、あんたも絵を描いてみたら?」
*上記は、画家モーリスユトリロのエピソードからヒントを得たものです。多分6割ぐらいが創作。そもそも火事は起こしてないし、絵を勧めたのは主治医だと言われています。
*パリの教会を多く描いたことで知られていますが、実際に写生はしておらず、絵葉書を見て心の中のイメージで書いたとか。そこからのタイトルです(Coldplayだけどさ)。