「砂漠の民の宗教だったイスラム教の死後の楽園には、水が永遠に湧き出る泉がある。イスラム建築で中庭の中央に噴水があるのは、それを模しているのだ」
そう大学の美術史の授業で学んだマユが、その日家に帰って、真凛に、「あんた鈍臭いから私のこと探せないでしょ?だから待ち合わせは無人島の椰子の木の下ね。」と言ったのは、所沢市にあるマユの実家が影響しているという。どういうことだろうか。
転載元: 「Somewhere over the rainbow」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/5410
「ただいま真凛…て来てくれるわけないか。」
生まれてからずっと海なし県で育ってきたから、私、人一倍海には憧れがあるんだよね。旅行に行くなら必ずビーチリゾートだし、乗り物から海が見えるだけではしゃぐから、友達には、「これだから○○県民は」って軽くいじられてるw
だからこの子にもマリンって名付けたんだ。真凛のまは、真由のま、ね。本当に、ちょっと前まであんなにやんちゃで、あんなに元気いっぱいだったのに。急に病気になるなんて、思わなかった。
これまでみたいに私が帰ってきたら玄関まで迎えにきてよ。ねえ。まるで眠ってるみたい。
虹の橋で待っててくれるって、私まだそっちに行くのに何十年もかかるよ?
そもそもあんた鈍臭いから、絶対私のことなんて見つけらんないでしょ?
そうか。死んだら人は自分の理想の場所に行けるのか。
じゃあ、私は青い海の広がる無人島ね。
椰子の木の下で、海を見ながら、のんびりするの。そこで待ち合わせね。
そこなら他に誰もいないから、あんたもすぐにわかるでしょ。
いつもみたいにしっぽ立てておいで。
じゃあまたね。