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むすめふさせほ

[ウミガメのスープ]

百人一首好きの亀夫とその妻,そして娘が暮らす亀夫一家.
いつも 亀夫 と妻の 海子 ,娘の 芙紗子 の三人で源平戦に興じていた.

そんな亀夫家だが,ある時期を境に 亀夫 の対 芙紗子 戦の勝率が急激に低下したのだという.
二人の 海子 との対戦成績には変化がないというのに,いったいなぜだろう?


出題者:
出題時間: 2021年1月22日 21:03
解決時間: 2021年1月22日 21:21
© 2021 丼 作者から明示的に許可をもらわない限り、あなたはこの問題を複製・転載・改変することはできません。
転載元: 「むすめふさせほ」 作者: 丼 (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/5356
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【解答】 「読み手」が替わったから.


【解説】

前略
海子 へ

変わらずにお過ごしでしょうか。
貴女が八国山の療養所に入り早一年になりますね。
此方は新居で慌ただしくも息災に暮しております。
 
 
この間 芙紗子 に貴女との馴れ初めをしつこく聞かれ、懐かしく思い出しました。
百人一首が縁で出逢った貴女に、こんな便りを出したのを覚えているでしょうか。
「かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを」

貴女はすぐに電報を寄越して呉れましたね。
『キミガタメ オシカラザリシ イノチサヘ ナガクモガナト オモヒケルカナ』
貴女は病がちな身体で嫁ぐことを気にかけていましたね。
それが 芙紗子 と 世穂子 という二人の娘に恵まれたのだから、運命というのは本当に有難いものです。
 
 
百人一首といえば、先日面白いことに気がつきました。
以前話したように、貴女がそちらに移ってすぐのことです。
これまで興味を示さなかった 世穂子 が百人一首をやりたいと言い出し、また三人で遊ぶようになりました

すると、私が 芙紗子 に勝つのに苦労するようになったのです。
よく思い返すに、読み手の貴女が決まり字を読むときの癖を、私は知らず知らずに利用していたようです。
世穂子 はまだ決まり字を知らず読み方も辿々しい故、思いがけず好勝負と成っています。
 
 
次の休みには、二人を連れてそちらに行きます。
久しぶりに百人一首を持って行きますので、 芙紗子 と 世穂子 の一層成長した姿を見てやってください。

草々
 
 
昭和廿七年 四月 拾五日
埼玉縣 所澤市 松郷
日下部 亀夫


数日後、亀夫のもとに一通の電報が届いた。

そこには、ただ一文。

『セヲハヤミ イワニセカルゝ タキガハノ ワレテモスヱニ アハムトゾオモフ』

【解説の解説】
解説文の「決まり字」とは,そこまで読まれれば特定の取り札を確定できる文字のことで,競技かるたでは決まり字を聞いたらすぐに札を取る必要があります.
「むすめふさほせ」は,百人一首で最初の一音を聞いて札が取れる(決まり字が一文字目=一字決まり)七首の最初の文字を取って並べたものです.
タイトルは「むすめふさほせ」→「むすめ ふさ せほ」→「娘 芙紗(子) 世穂(子)」で,娘が二人いることを暗示しています.


出題者:
参加するには または してください
パトロン:
アシカ人参
と 匿名パトロン 3 名
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Cindy