ビーフストロガノンドロフ

のう。
せっかくワシが絶品のビーフストロガノフを振舞ってやろうとしておるのに。
なぜか妻も息子も乗り気じゃない様子なのじゃ。

なんでかのう？

「なぁ、怒らないから正直に言ってくれ。ワシの料理の何が不満なんじゃ？」
「う〜ん、本当に怒らない？」
「あぁ。味付けがちょっとばかし悪かったかのう？」
「いや、そうじゃなくて…わかった。言うわ」

「あなた、一気に作りすぎるのよ。私たちがたくさん食べてくれるって、喜ぶでしょ？確かに美味しいんだけど、量が多すぎるの。冷蔵庫に入りきらないし、腐らせないように食べきらないといけないし…ほら、すぐ不機嫌になる。だから嫌だったのよ、適量で作れないの？」

「…無理じゃ。あの味は、大鍋でじっくり煮込まないと出せん」
「（だから人の話を聞かない大魔王だって言われるのよ）」ボソッ

「なんじゃと！！」 「ほら怒った！！」 「二人とももうやめろよ！！」

こうして三つ巴の大乱闘が繰り広げられるのであった。（完）