2021年1月4日、某国政府の年頭所信表明において、
「本日以降、『老若男女』は『ろうにゃくにゃんにょ』と読むこととします。違反した者は死刑。」と告げられた。
どう考えても不合理に思える内容だが、国民の誰もがこの発表を好ましく受け止めたという。
いったい、なぜだろうか。
*No.11 ZENOさんのオマージュです。
転載元: 「【猫ますか?オマージュ】my head on the silver plate」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/5299
タルタルーガ王国は絶対王政、つまり王家=政府という体制を敷いている。と言っても、独裁政権というわけではなく、ラテラオス王の善政のおかげで、国民は広く王室を敬愛している。さて、そのタルタルーガ王国では、新年三が日が明けた1月4日、王族が揃って政府としての年頭所信表明を行う慣しとなっている。といっても、実質的には、王室のご挨拶といった趣で、全国民は毎年そのウェブ配信を楽しみにしている。
さて、本年の目玉は、7歳を迎え、初めて公の場に姿を表す、王の末娘カーメリータ姫である。上の3人の王子に続いて、一生懸命渡された挨拶文を読もうとするカーメリータ姫。
ところが、
「ほんねんも、ろうにゃきゅ…ろ、ろうにゃくにゃ…りょうにゃくにゃにゃ…」
噛んでしまって先に進めない。
「やーい。読めないでやんの。」「まだお子ちゃまでちゅね〜、カーメは。」と兄たちに揶揄されるカーメリータ王女は、タートラ女王譲りの整った顔を真っ赤にした。
そして、「う、うるさい!これからはろうにゃくにゃんにょでいいんだもん!そう読まないと死刑だもん!!」と言って、からかう兄たちを追い回し始めた。
「これ、やめなさい!」家臣に命じて子どもたちを部屋から出させると、「大変お見苦しいところをお見せして申し訳ない。今後はタルタルーガ王国の為政者としてふさわしい教育を徹底し…」とフォローに努めるラテラオス王。
しかし、国民の評判は上々であった。
「いやいや子どもはあのぐらい元気じゃないと!」「かえって親しみが湧いた。」「中でもカーメリータ王女の可愛いこと。」「カメたんらぶ❤️」「ちょっと物騒だけど、勇ましくていいわ。」「カメたん萌えきゅん👸」「もう本当にろうにゃくにゃんにょでいいよな」「ていうかカメたんになら死刑にされたい」
と、広く国民に好ましく受け止められたのである。