水平遊園地のオーナーが、新規オープン間近の迷路アトラクションの最終チェックに訪れた。
従業員に迷路を案内してもらっている間、オーナーは分岐点に着くたびに見かける「矢印」がとても気になっていた。
従業員は「矢印」の指す方向に従って移動している。
しかも「矢印」はしっかり床に描かれていて、誰の目にもはっきり見える。
結局2人は、一度も袋小路に入ることなく迷路を通り抜けてしまった。
オーナーはアトラクションオープンの際に「矢印」がどうなるのか尋ねてみた。
すると従業員は「今のままオープンします」と答えた。
内装も照明も変えることはなく、「矢印」を消したり隠したりする予定も一切無いのだそうだ。
「それじゃ迷路とは言えないだろう?現に今、全然迷わずに通り抜けたではないか!」
オーナーが怒ると従業員はニヤリと笑って言った。
「そんなことはありません。じゃあオーナーおひとりでもう一度入ってみますか?」
オーナーは即座に単独で同じ迷路に入り、今度はさんざん迷ってやっとの思いで出口に着いた。
一体何故?
転載元: 「迷わぬ迷路の迷惑者」 作者: 名無し編集者 (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/5081
分岐点のすべてに描かれた「矢印」は「入口の方向」を指しており、一般客にとっては「どちらから来たか」を示すものではあっても、「どちらが出口か」を示すものではない。
オーナーは最初、出口から入って案内されたので、「矢印」の通りに進んで入口に到着した。
しかし、2度目に単独で入った時は入口から入ったため、分岐点に着くたびに「矢印」が自分の方向を向いているのを見ることになった。
「矢印」を気にしてばかりで自分の歩いた順路など覚えていなかったオーナーは、普通に迷ってしまったというわけだ。
余談だが、この「矢印」は「緊急時の脱出」や「ギブアップ」をサポートするだけでなく、袋小路から分岐点に戻った時に「入口方面に戻ってしまう」ことを防止する働きがある。
当然ながら、少しばかり迷路の難易度を下げることにもなってしまうのだが、子供も入場する遊園地のアトラクション程度ならそれで充分だとオーナーは判断し、オープンにGOサインを出したのであった。