運び屋はつらいよ

旅先で食べる気のないお菓子をたくさん買った亀井は、それを地面に落としたせいで複数から追われる身となってしまった。どういうことだろう？

亀井は小学六年生で、修学旅行に来ていた。
今日は奈良公園で班に分かれて自由行動の日。彼らが楽しみにしているのはもちろん、そこかしこを我が物顔でうろついている鹿たちとの交流である。ジャンケンに負けた亀井は他の班員４人からお金を受け取り、全員分の鹿せんべいを買ってくることになった。

大量の鹿せんべいの束を受け取り、友人たちの元へ走り寄る。すると彼のリュックについていたキーホルダーが引っかかり、ビニール袋が破れてしまった！一つ二つの束が地面に落ち、砕けて散乱する。
しまった！と思った瞬間、周りで様子を見るかのように待機していた鹿の群れが一斉に駆け寄ってくる。
押し合い圧し合いしながら餌の取り合いをする数頭、そして「アイツまだ持ってるぞ」と言わんばかりにこちらを見つめる数頭。顔面蒼白の亀井たち。

その不幸なミスがきっかけで、しばらく彼らが鹿の大群に執拗に追われ続けたのは言うまでもあるまい。