金メダリストのカメコは競技会に参加して全力を出したが、下位に終わった。
明らかに不本意な結果なのに、カメコが嬉しそうなのは何故?
Q1名無し編集者さんのオマージュです。
転載元: 「【運動ますか?オマージュ】Having the time of your life」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/4995
理由:採点競技で、技術点が振るわずに下位に終わったが、自らが誇りに思っていたその表現力は健在で、多くの観客を感動させたため。
カメコは個人の自由が制約された国で育ったフィギュアスケーター。幼くして才能を見出された彼女は、国の政策でエリートスケーターとしての英才教育を受け、その頭角を現した。中でも、その芸術性と表現力は、空前絶後との評価を受け、国際的な大会の金メダルを総なめにした。
しかし、時代の潮流から、芸術性や表現力より、より客観的に評価できる技術点が重視されるようになった。カメコは、自分の時代は終わったと引退を決め、プロに転向した。
その6年後、カメコは大会に復帰した。プロの参加が認められたことも理由であったが、技術偏重の方向に進んでいくスケート界に疑一石を投じたかったこと、そしてそれ以上に自分のスケートが今の世の中どれだけ人々の心に伝わるか試したかったことが、何よりの動機であった。
元々技術を売りにしたスケーターではない上、プロで滑っていたとはいえブランクが長く、何より年齢的によスケーターのピークを超えているとみられたカメコの挑戦を、無謀と言う人もいた。しかし、カメコは現役時代を超える程の練習を重ね、本番に向かった。
選んだ曲はフォークソングの反戦歌。厳しい環境で育った幼少期の記憶と、今後の平和への思いを込めて滑った。その渾身の演技は、現役時代をも凌ぐ優美さと気迫に満ちていた。それはまさしく女王舞と呼ぶにふさわしいものであった。
ジャンプの種類・質ともに若いスケーターには及ばず、点数面では伸び悩んだため、金メダルはおろか表彰台にも及ばなかった。しかし、会場の全ての観客が拍手し、歓声を上げ、スタンディングオベーションを送った。涙を拭う人までいた。私のスケートは誰よりも人の心を動かすことができる。それだけでカメコには充分であった。
*カタリナ・ヴィットさんのエピソードがモチーフです。事実と異なる箇所、ほぼ創作な箇所もありますが、御容赦ください。
*タイトルは「Dancing Queen」の一節です。