【HBC本格長編】亀蔵の後悔

とある大きな邸宅、土砂降りの真夜中、一人の泥棒がガラス窓から屋敷の中に忍び込んだ。
泥棒はリビングに行くと、部屋中の引き出しと言う引き出しを開け、金目の物を根こそぎバッグに詰め込んだ
「誰？」廊下から女性の声が聞こえる。この日、独身の先生は外国に行っているはずなのに、家に誰かいたのか．．？
家政婦らしき女性が部屋に入ってきた。。。その時、泥棒は咄嗟に部屋に入った家政婦の頭目掛けガラスの灰皿を振り下ろして倒した。
『家政婦さんには大変気の毒だが、私はここで捕まるわけには行かないんだ・・・絶対に』
泥棒は金目の物を盗った後、急いで屋敷から出た・・・

それから数日後、自宅で亀蔵は電話である人物と話をしていた
亀蔵は声を荒げる
「え！！何でですか？お金はあります！なんでできないんですか？できるって言ったじゃないですか！」
亀蔵の呼吸は乱れながらも、真剣に電話の話を漏らさず聞いていた。
「・・・・そんなことが・・・まさかそんな・・・」

さらに２週間が経過した。
亀蔵は警察署の取り調べ室にいた。
「すいません。本当にすみません。。。私がやりました。。。すべて私が悪い！」
刑事が口を開く「盗んだのはお前で間違いないようだな・・・しかし、まだあんたに疑いの目はかけていなかった筈だ。
なぜ自首をしたんだ？」
亀蔵は取り乱していた。
「すみません。。全て私が悪い。。。娘を、、、娘を殺したのは私だ！！
可愛い娘を・・・ああ、、、」

上段の強盗に関する記述の犯人は亀蔵なのだが、一体亀蔵はなぜ自首をしたのでしょうか？
理由をお答えください。

※注意事項

なお、普段私の問題はＹＥＳ／ＮＯの後に簡単なコメントをいつも入れているのですが、
難易度を高めるために本問題に限り、既定の番号になるまでコメントを付けず、ＹＥＳ／ＮＯのみの回答と致します。
かなり入り組んだ事件となっておりますが、皆様の御参加お待ちしております。

娘を間接的に殺してしまったから

亀蔵は冷たい檻の中で、これまでの思いを馳せていた。
10歳の娘が白血病と診断されたのが半年前の事だ。
病院通いが続き、２ヶ月前には病状も悪化し、入院を余儀なくされた。

「骨髄手術をしなければ、厳しい結果となります。正直多額のお金がかかりますが・・どうしますか？」
病院の先生から信じられない言葉を聞いた亀蔵は、目の前が真っ暗になった。
もうこれは何とかするしかない．．．借金でも何でもして、娘を何としてでも手術しないといけない．．．
しかし、２年前に新築マンションと事務所のローンを申し込んだばかりで、あまり借金はできない。
亀蔵は悩みに悩んだ。

その結果、亀蔵は病院の医師の１人に目を付け、空き巣を実行する事となった。
娘の直接担当する医師ではあまりにあからさまに疑われる。
その為、担当医師ではない同じ病院の独身の医師などに狙いをつけ、
それとなくその医師をイケメンですね。有名ですよね。などとおだてて、
看護師や他の患者からその医師のスケジュールなどをそれとなく聞き出した。
さらにその医師をストーキングして自宅を突き止めた。
名医ともあって立派な家だ。

そして窃盗決行の日
この日はそのイケメン先生はアメリカに研修に行く事を知っていた。
襲うなら今しかない！
．．．しかし家政婦を雇っていたのは計算外だった。
窃盗が強盗に変わってしまった．．．

亀蔵の携帯電話が鳴っていた。
亀蔵は電話に出た。娘の主治医からだ。

「え！！何でですか？お金はあります！なんでできないんですか？できるって言ったじゃないですか！」

主治医は言いにくそうに、、しかし淡々と落ち着いた口調でこう話した。
「娘さんの手術はできなくなりました。海川先生を御存知でしょう？あなたがイケメン医師と言っていた。。
２日前に彼の家に強盗が入りましてね。その時に家政婦さんが頭を殴られてこん睡状態に陥ってたのですが、、
今朝彼女が亡くなったんです。」
「・・それが手術と何の関係が？」

「彼女、娘さんのドナーだったんです・・・お気の毒ですが」

「・・・・そんなことが・・・まさかそんな・・・」

それから10日後に、亀蔵の娘は天へ旅立ってしまったのであった。
独房で彼はタロットカードで自らを占っていた。
しかし、何度やっても出るカードは「ホイール オブ フォーチュン」であった

（・・そうか、、悪い事をした運命は巡り巡って自分に戻ってくるものなんだな・・）

亀蔵は何度も何度も娘と被害にあった家政婦に懺悔の言葉を送ろうとするのであった。

≪おしまい≫