目が覚めたシンディは自分が見知らぬ部屋にいることに気がついた。ぼんやりとした記憶を辿ると、先程まで遊園地に行こうとしていたことを思い出した。いつの間に寝てしまったのだろう、そもそもここはどこなんだろうと、じりじりと不安と恐怖が這い上がってきたところに、追い討ちをかけるように誰かが話しかけてきて、シンディの肩が思わず跳ねた。
「ハッピーバースデイ、シンディ。わしが誰かわかるかい?」
突然現れてそう言った老人。深い皺が刻まれた顔に、しゃがれた声。シンディはいくら記憶を辿っても、目の前にいる老人に見覚えはなかった。恐怖が限界を超え、泣いて助けを呼んだが、その様子を見て老人は泣いて喜んだ。
一体どうして?
転載元: 「【2020HBC】Happy Birthday Cindy2020」 作者: メラ (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/4957
ある日のこと、最愛の娘、シンディにねだられて、アガーサ博士は一緒に遊園地に行くことになった。不幸にも行く途中で交通事故に遭ってしまい、シンディは亡くなってしまった。
深く悲しんだ彼はしかしロボット工学の先駆者であった。研究を重ね、シンディを復活させようとした。具体的には、シンディの記憶や人格を、シンディに似せたロボットにコピーして、本物そっくりのアンドロイドを作ろうとしたのだ。
そしてついに完成した。彼はシンディを起動させるこの日を、シンディの第二の誕生日とした。
「ハッピーバースデイ、シンディ!私が誰かわかるかい?」
「ハい。アなタはアガーサはか士deす」
「…」
博士はシンディ01を破壊した。
それから時が流れた。
「ハッピーバースデイ、シンディ。私が誰かわかるかい?」
「はい。あなたはアガーサ博士です。」
「…」
博士はシンディ455を破壊した。
それからさらに時が流れた。
「ハッピーバースデイ、シンディ。わしが誰かわかるかい?」
「だ、誰なの!?さっきまでパパと一緒にいたのに…。パパはどこ?パパ、助けて!パパー!」
「ああ、シンディ!お前が眠ってから、もう60年以上経っているんじゃ。年を取ってしまったが、わしがパパじゃよ」
シンディ2020が起動した日。記憶のコピーがうまくいき、まるで本物のシンディ同然の動きをするアンドロイド。
それを見て、博士はついに愛娘シンディに会えたと、涙を流しながら喜びを露にしたのだった。
FA:亡くなった娘に似せて作ったアンドロイドが、本物のシンディ同然の動きをするのを見て、娘が帰ってきたと泣いて喜んだ。