「今日、森の中で狼さんを見つけたの♪」
小さな女の子がそう言ったので母親は注意した。
「危険だから近寄ってはいけません!」
その翌日。
「今日も狼さんを見つけたの♪」
それを聞いた母親は女の子を拘束し、押入れの中に閉じ込めたという。
いったい何故?
No.6 アルミニウムさんのオマージュです。
転載元: 「【危機ますか?リサイクル】おおかみこどもとアメとムチ」 作者: GinRei (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/4849
【3行解説】
狼を村に放つことを計画していたカメコ(カメオの母親)。
毎日違う嘘をつく女の子が2日連続で狼を見たと言ったので、女の子が本当に自分の隠した狼を見つけたのだと察した。
計画の露呈を恐れたカメコは女の子を監禁した。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ある村に1人の小さな女の子がいた。彼女は村一番のホラ吹きで、毎日のように大声で嘘をつき、村人達を楽しませていた。
彼女の嘘はバラエティが豊かで、ある日は「海賊が村に攻めてきたぞ!」、またある日は「今日隕石が落ちてきて地球が滅ぶぞ!」のように、毎日違った嘘をつく。今日はどんな嘘をつくのか、村人達は毎日楽しみにしていた。
一方、そんな平和な村に住む1人の女、カメコ。彼女は訳あってこの村に並々ならぬ恨みを抱いており、村人を全滅させようと画策していた。
しかし彼女には人を殺めるほどの度胸はない。
そこで彼女は飼い慣らした狼に村を襲わせることで村人達を殺そうとしていた。
カメコは狼を森の中に隠し、作戦決行の時を待った。
【作戦決行前日】
カメコは彼女の一人息子であるカメオと共に散歩に出かけた。彼女の息子はカメコの計画を知らない。彼女の愛する息子に見届けさせるには、あまりにも残酷な計画であったからだ。
カメコとその息子が村を歩いていると、ホラ吹きの女の子がいつものように飛び出してきてこう言った。
「今日、森の中で狼さんを見つけたの♪」
カメコは焦った。彼女の計画がバレたのではないかと危惧した。
しかし村人達は、女の子の発言を気にも留めない。いつものホラ吹きが始まった、と楽しんでいるようであった。
カメコはこう考えた。「まだ計画はバレていない。たまたま女の子の嘘が自分の計画に合っていただけだ。それにもし仮に女の子が本当に森の中の狼を見つけたのだとしても、村人達はいつもの嘘だと思って信じないだろう。」
カメコは側で不安そうに自分の顔を見上げるカメオに対してからかうように、それでいて言い含めるようにこう言った。
「危険だから(森に)近寄ってはいけませんよ」
【作戦決行当日】
カメコが作戦を決行していたその時、ホラ吹きの女の子がいつものように家から飛び出してきた。そして、たまたま彼女の家の前を通りかかったカメコに向かってこう言った。
「今日も狼さんを見つけたの♪」
カメコは確信した。この女の子は森で狼を目撃したのだと。
というのも、女の子が2日連続で同じ嘘をつくことなど今までになかったからだ。きっと女の子は本当に森で見た狼のことを触れ回っているのだろう。
同時にカメコは焦った。女の子が2日続けて同じ嘘をつかないことは村人達も知っている。彼女の話が本当であることに気付くのも時間の問題だ。計画は失敗するかもしれない。
幸い、女の子の話を聞いたのはまだ自分だけだ。
周囲には誰もいない。
カメコは後ろ手に持ったロープを引き絞りながら女の子に近付き、こう言った。
「ちょっとだけ、今日一日だけ、いい子で黙っててね」
この後彼女の計画がどうなったかは、誰も知らない。