中2のある日。中間考査に向け、皆が焦っている。
「それに比べて、こっちのユイカときたら…どうにかならないものでしょうか…?」
ユイカの母親は、そう電話越しに愚痴を漏らす。以前までテストでクラス上位にいたユイカだが、英語だけは、クラスメイトに点を抜かされてしまっていた。もし満点を取れば、あのかっこいい英語科、亀山先生のハートも…!焦りと希望を胸に、彼女は熱心に勉強した。
中学ニ年二学期六限、中間考査-英語の返却である。事実、ユイカは数問間違えてしまっていた。とあるクラスメイトが「満点!凄いじゃん!」と驚嘆すると、皆が一つの机に集まる。ユイカはクラスメイトと共に、その解答用紙を見つめる。今までこんなにまじまじと満点と花丸がついた答案を見たことは今までなかった。
ただ騒いだだけのクラスメイトたちが帰宅すると、教室には二人いた。ユイカともう一人。満点の答案を皆に見られて恥ずかしそうな持ち主。亀山先生から大層好かれているのかもしれない。ユイカは…嫌だった。許せなかった。教室で二人の声が同時に響いた。
「ねえ、ちょっと相談したいんだけど…」
その次の英語のテスト、ユイカはテストに書く文字数を数文字減らしたのだが、いったいどういうことだろうか。
転載元: 「秋分」 作者: Duffy (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/4350
10月中旬。私はテスト勉強で忙しかった。勉強しなさいと母親は言うが、私はできる限りのことをしている。何故かって、ライバルを超えるためだ。
私のクラスにはもう一人ユイカがいる。彼女は最近私の得点を超えてきているのだ。
「お宅のユイカさんは優秀でしょう?それに対して、こっちのユイカときたら…」
私は焦りと共に勉強した。今度こそ勝ってやるんだ。
考査結果は85点だった。あのユイカはまた100点だ。クラスメイトの喧騒に紛れ見つめると、何か違和感を感じた。(これ…間違っていないか?)明らかに間違っているところに丸がついている。最近彼女が急に点数を伸ばした原因は…これか?
二人のユイカが教室に残る。満点答案を見つめるかのユイカは、訝しげな顔をしていた。
もしやあいつ、先生が贔屓して…?…私は許せなかった。教師がこんな改竄をするなんて信じられなかったのだ。
私がテストの点を伸ばしたのは5月の中間考査以降である。100点を取りまくり、一躍クラスの人気者だ。私の実力はすごいものだと、天狗になっていた。
10月の中間考査も必死で勉強した。私は100点を取ることがモチベーションになっていた。そして、プレッシャーにもなっていたのだ。
考査結果は100点だった。その答案を見た途端、私はある違和感に襲われた。「今回のテストは絶対に数問落としたはず」なのだ。クラスメイトが集まってきても、私はこの状況を理解できなかった。隣にはポツンと一人ユイカだけが残った。私と同じ名前のライバルである。ユイカもこの状況に気づいたようだ。今までの答案も、もしや……。その時、1学期、成績が低迷していた頃、母が電話をしていた様子が蘇った。
「それに比べて、こっちのユイカときたら…どうにかならないものでしょうか…?」
あの猫撫で声は、明らかに誰か友人ではない他人と話す声であった。
私は許せなかった。私が取りたかったのは偽りの満点などではないのだ。
期末テスト、二枚の「ユイカ」が書いたテスト用紙は、教師への彼女たちによる決死の抵抗である。
【解答】教師が生徒のテストの点を勝手に操作していたため、異性同名の二人は名字を伏せることで教師に反抗した。