「パパ、大丈夫?」
しばらくの間、父親のラテオに抱っこされていたカメコが心配して訪ねると、ラテオはカメコの体を片手で支えられるように持ちかえ、
「パパは力持ちだからね!」
と言って力こぶを作った。実際にラテオの上腕二頭筋は、チョモランマのごとく雄々しく勇壮で、巨大なものだった。それを見たカメコは、
(パパはいま、酷く嫌な気持ちなんじゃ?)
と心配になった。一体なぜ?
転載元: 「【盛り上がりますか?オマージュ】デカすぎて固定資産税かかりそうだな」 作者: 名無し編集者 (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/4263
ドヤ顔で力こぶを作ったラテオ。
その巨大な上腕二頭筋は、片手で抱っこされたカメコの位置から見ると、まるでラテオの顔にくっついているように見えた。
カメコは昨日ママが読んでくれた絵本のイラストを思い出した。
絵本のタイトルは「こぶとりじいさん」。
鬼に大きなこぶを取られて喜ぶおじいさんと、逆にこぶを付けられて泣きべそをかくお隣のおじいさんが描かれていた。
カメコは、ラテオが力こぶを自慢していることなんかわからない。
ただ、いつもは存在しないこぶが顔にできたと思っている。
(こぶができたパパはないちゃうかも。)
「パパもおどりがじょーじゅになれば、オニがこぶとってくれるからね。」
カメコはラテオの頭を撫でながら、そう言ったのであった。