例II:花言葉

男は、ヒヨリとレイナ、二人で構成される人気音楽グループ「ヒイナ」が大好きである。男は結成当初から彼女らを応援し続け、ついに全国ツアーが開催されることが決定した。男はとても喜び、絶対に美しい二人の姿を拝みたいと思った。ヒイナの二人も、絶対に来て欲しいと男にお願いした。

さて今日は、ヒイナの全国ツアー初日のはずなのだが、ライブ開始予定時刻、男は会場から遠く離れた花屋で彼女らへの花束を探していた。その日、男はライブを見ることができなかった。

しかし、男はヒイナの二人へ花束を渡すことができ、しかも二人はライブ会場に向かわず花を探していた彼にとても感謝したのだという。いったいどういうことか。

ピンポーン
夜も更けた頃、突然チャイムが鳴る。いきなりどうしたのか。ヒメナの二人はそっとドアを開けると、そこには見慣れた男が月に照らされていた。
「ハァ…ハァ…疲れた…」
「「マネージャー！」」二人は驚いた後、声を出して笑う。
「どうしたの？急に。」「いきなりすみません。今日、ツアー初日のはずでしたよね？だから…花束を…」
そう彼は後ろに隠していた薄い藍色の花束を取り出した。
今日も、世間を賑わせているあのウイルスは、私たちからライブの機会も奪っていった。彼にライブを見せることはできなかったが、わざわざ花束を持ってきてくれたのだ。
「選ぶのに時間がかかっちゃって…遅くなっちゃいましたけど」
「いいよいいよ、ありがとう！わぁ、凄い綺麗な花だよ！見て！」
「デルフィニウムって言うんです。喜んでくれたのなら、選んだ甲斐がありました。」
じっくり花を見つめる二人の目には数粒の涙が浮かんでいた。
※2020年4月29日今現在、新型コロナウイルスCOVID-19により、多くのイベントが中止となっている。
【解答】男はグループのマネージャー。ライブが中止となった二人に、わざわざ花束を届けてくれたから。