カメオが近所の川まで散歩に出かけると、そこには死にかけているウミオの姿があった。
ウミオと非常に仲が悪かったカメオは、ウミオを出来るだけ慎重に、自分の家まで連れて帰ろうと思った。
一体なぜか?
転載元: 「ウミオ、家来る?」 作者: 光四 (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/4064
(下に簡易解説があります)
ここはあの世。
数年前に既に死んでいるカメオ(の霊魂)は、今日も霧に包まれたあの世での自宅から近くにある三途の川まで散歩に出かけた。
すると、川の向こう側、現世の方の川辺に、生前のカメオと非常に仲が悪かったウミオの姿があった。
ウミオは現世にて交通事故に遭い、現在、生死の境をさまよっている最中だった。ウミオの霊魂も、あの世の三途の川の一歩手前まで漂ってきたのだ。
状況がよく分からない、意識もはっきりしない感じのウミオが、うつろな目で川を見下ろしているのを見て、カメオはこれ幸いと思った。
――ウミオに川を渡らせて、戻れなくさせてしまえ。
三途の川は、一度現世の側から彼岸の側へと渡ってしまうと、もう二度と現世には戻れなくなる。カメオは、ウミオを川のこちら側へと誘い出してやろう、つまりこのまま殺してしまおうと考えたのである。
出来るだけウミオを刺激しないよう、慎重に言葉を選びながらこちらへ誘い込まなければならない。とりあえず、「こっちに来いよ、来れば楽になれるぞ」とか、「疲れてるんだろ、俺と仲直りしようぜ、とりあえず俺の家にでも来いよ」とでも言おうか。カメオがそんなことを考えていると、
「……ウミオー、戻ってこーい……」
遠くから、かすかにそんな声が聞こえた気がした。
その瞬間、ウミオははっと目を見開いて、現世の方を振り返った。現世の誰かが、必死にウミオを蘇生させようとしており、ウミオにその声が聞こえたということは、蘇生が成功しつつあるのだ。
ウミオはそのまま現世のほうに駆け出し、すぐにカメオの視界からいなくなって霧の向こうに消え、そしてそのまま戻ってくることはなかった。
「…………」
三途の川の川岸には、無言のままのカメオが一人残されていた。
簡易解説:川は三途の川で、カメオ(霊魂、既に死者、あの世側)がウミオ(霊魂、瀕死、現世側)を、現世側からあの世側へと招いて(三途の川を渡らせて)殺してしまおうと思ったから