ある日、読書好きのビブリ尾フィリ子が浮かない表情で「とある本をどうしてもすぐに読みたい」と言いだした。そこで、父親が偶然その本を持っていたクラスメートの倉須目糸子は自宅からその本を持ってきてフィリ子に貸してやった。しかしフィリ子はそれを受け取ったものの、今度は明るい表情で「家に帰ってから読む」と言いだした。これを聞くと糸子は心底安心したのだが、それは何故か?
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2020年1月19日(日)23時59分59秒に出題終了予定です。
転載元: 「文学少女と稀少本」 作者: TATATO (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/3971
【正解】
フィリ子は重病を患い長期間入院していたが、成功率の低い手術が無事に成功して退院出来ることになった。「家に帰ってから読む」というフィリ子の台詞からそのことを知ったため、糸子は安心した。
【詳細解説】
重病を患い長期間入院していたフィリ子。あまり自分の病状について話したりはしなかったが、糸子がフィリ子の家族から聞いた話によるとこのままでは長くはもたないらしく、フィリ子は近いうちに大きな手術を受ける予定とのことだった。しかしその成功率は決して高くないとのことで、最近のフィリ子は傍目に見ても落ち込んだ様子が伺えた。
そんなある日、糸子がフィリ子の見舞いに行くと、フィリ子が「どうしてもすぐに読みたい本がある」と言ってきた。話を聞くと、昔からその本を探していたが絶版になっておりなかなか見つからなかったらしい。本のことを話す彼女の切実な表情はまるで「生きている内に読みたい」と言っているようで、糸子はフィリ子の手術がいよいよ迫っているのかも知れないと考えた。しかし糸子は怖くてそのことを尋ねることも出来ず、その代わり絶対その本を入手してフィリ子に読ませてやろうと決意した。
それから暫くの間、糸子は血眼になってその本を探した。まずはネットで全国の書店の在庫を調べたが見つからない。次にネットオークション。これも見つからない。あまり多い訳でもない友人たちに相談する。SNSで呼び掛けてみる。そして放課後と休日をフルに使って回れる限りの古本屋を巡る。しかしそれでもフィリ子が読みたがっていた本は見つからない。考えてみれば読書家のフィリ子が長年探しても見つからなかった本だ。そう簡単に見つかるはずはなかった。日が経つにつれ、糸子は焦燥感に苛まれていった。
するとある日、糸子の様子を見かねた父が声をかけてきた。そこで初めて糸子はフィリ子の病状や本のことを両親に相談することにした。すると、何と偶然にも父がその本を持っているという。灯台下暗しとはまさにこのこと、糸子は早速その本を父から借りてフィリ子の病室に駆けつけた。
ところが、前回御見舞に来た時とは打って変わってフィリ子の表情が明るい。糸子が父から借りた本をフィリ子に渡しながら様子を伺うと、フィリ子は「家に帰ってから読む」と言いだした。フィリ子が家に帰れる、すなわち手術は成功したのだと悟った糸子は、心から安堵した。