運ばれてきたスープの香りをパン片手に堪能していたらシェフにバケツを渡されたので、ロジオは「またこの店に来よう。」と考えた。
どういう事だろう?
転載元: 「スープとパン」 作者: つのめ (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/3930
俺にとってこの世は地獄だったよ。
金も無い、職もない。
隣で支えてくれる人も、もう居ない。
生きていたいわけじゃない。
ただ死ぬのが怖いから息をしてただけ。
終わりも見えない、ただ食い物を探してゴミ箱をあさる日々。
最低の気分だった。
それがあの日、変わったんだ。
冬の日の事だった、ガタガタ震えながらレストランの裏のゴミ箱をあさって見つけたカッチカチに固まったカビたパン。
そいつをレストランの暖かい厨房の壁にひっつきながら、排気口から吹き出る風に運ばれて来たスープの香りをオカズにして食おうとしてたんだ。
そしたら突然レストランの裏口から人が出てきてよ。
その人、雑巾の入ったバケツを俺に渡してこう言うんだ。
暇なら窓を拭いてくれないか。
対価はスープとパンでどうだろう?
ってさ。
掃除が終わらせて食わせてもらった暖かいスープと柔らかいパンは最高に美味かった。
色んな気持ちで胸も顔もぐしゃぐしゃにしながら思ったよ。
這い上がろう。って。
浮浪者生活とはオサラバしよう。
今度は金を持ってレストランに来るんだ。ってね。
そんでよ。
俺、店の扉を開いてあの人に会ったら一番にこう言おうって決めてたんだ。
「よう、大将。最高のスープとパンを食わせてくれないか?」