199X年某日。水野平太(58)が殺害された。
多くの人物が水野が殺される瞬間を目撃しているにもかかわらず、20年以上経っても誰が水野を殺したのかは分からないままであった。
しかし、事件に関わった警察関係者によると「誰が犯人なのかは分からない方がいい」のだという。
なぜ?
転載元: 「箝口令」 作者: Aspil (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/3834
199X年某日。水野平太死刑囚(58)の死刑が執行された。
死刑執行の旨は当日の朝に伝えられる。かつては前日に伝えられていたが、暴れたり自殺を試みる者がいたため当日に伝えられるようになった。
死刑囚は刑場に連行され、手足を縛られ目隠しをされ、首にロープを掛けられる。その後、合図がなされ3人の刑務官が一斉にボタンを押す。
3つのボタンのうち、本当に床を開けるボタンは1つだけである。残りの2つはただ押すだけのボタンとなっている。
こういう構造になっているのは、誰が押したボタンで床が開いたのか分らなくするためである。仕事とはいえ、自分が押したボタンで処刑されたと分れば、その刑務官も今後ずっと「自分が殺した」という思いを持って生きていくようになるため、刑務官の精神を配慮した仕組みとなっている。