「今日は良い(11)夫妻(23)の日だね」
そう言ったシン太郎が手に持っていた指輪を置いて帰ったのは何故?
転載元: 「1123」 作者: エルナト (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/3824
今日は、11月23日。
カメコと結婚して30年を迎える大切な日だった。
「今日は良い(11)夫妻(23)の日だね」
シン太郎が呟く。返事はない。
それでも構うことなく、シン太郎は微笑んだ。
「早く、君に会いたいな」
ポケットからカメコの結婚指輪を取り出すと、静かに眠るカメコの前にそっと置いた。
シン太郎の左手には、それと同じデザインのひとまわり大きな指輪が、銀色に鈍く光っている。
そっと手を合わせ、そして願う。
早く、君に会いたい。
けれど、まだ会う訳にはいかない。
──数日前、娘のカメミから連絡があったんだ。
いい人を見つけたって、今日籍を入れるらしい。
僕たちからちょうど30年遅れ。
彼女も君のような綺麗な女性に育ったよ。
そして彼も、きっと彼女を大切にしてくれるような、優しそうな青年だった。
君に見せられなくて、本当に残念だな。
合わせていた手を離し、そっと目を開ける。
カメコが優しく微笑んでいるのを感じた。
ありがとう。
しばらくその指輪は君に預けておくから。
向こうで、変な男に付いて行くんじゃないぞ。
それは、あなたの方でしょう?
なんとなくそんな風に言われた気がして、シン太郎は苦笑いを浮かべた。
***答え***
墓前の妻カメコに結婚指輪をお供えして帰ったから。