アツアツ夫婦が冷えている

新婚ホヤホヤで、幸せな毎日を過ごしている男がいる。
しかし、今日は妻が外泊のため留守なので、帰宅しても寂しいだけだ。

男は夕食を食べてから帰ることにしたが、今夜は何かと運が悪かった。
まず、スーツに夕食のスープをこぼして、シミを作ってしまった。
その後乗った電車は、駅間で30分間立ち往生。
車内で時間潰しにスマホで動画を見ていたら、クライマックスのいいところで充電が切れてしまった。

「妻が留守でなければこんな目に遭わずに済んだのに。」

そして、帰宅した男はまたひとつ『不運』に見舞われた。
仕方がないので、男は開けたくもない冷蔵庫を開けた。

『不運』とは一体どんなことだったのだろう？
冷蔵庫を開けた理由と共に答えよ。

玄関を開けて中に入ったところ、真っ暗闇で、部屋の電灯のスイッチがどうしても見つけられなかった。
冷蔵庫を開ければランプが点くので、その光を頼りに探そうと思った。

男がこの家に住み始めてからまだ1ヶ月も経っていない。
結婚直前に引っ越してきて、結婚式の後は新婚旅行でしばらく家を空けていた。
そして、いつもなら妻の方が早く家に帰っているので、部屋の灯りは点いている。
男が電灯のスイッチに触れる機会はさほど多くなかった。

加えて今日は、スマホの充電が切れていて、懐中電灯の代わりにならないのである。

心当たりの場所を手で探ったがスイッチは見つからず、仕方がないので男は、近くの冷蔵庫を手探りで見つけて開き、思ったより少しずれた場所にあったスイッチで灯りを点けた。

「妻が留守でなければこんな目に遭わずに済んだのに。」
男は大きなため息をついた。