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吸い殻とリバウンド

[ウミガメのスープ]

減量中のウミオが自分の体脂肪率の増加を予見したのは、火事になった彼の住処の焼け跡から友人の煙草の吸い殻が見つかったからだという。一体どのような経緯があったのだろうか?


出題者:
出題時間: 2017年12月19日 20:30
解決時間: 2017年12月19日 20:47
© 2017 TATATO 作者から明示的に許可をもらわない限り、あなたはこの問題を複製・転載・改変することはできません。
転載元: 「吸い殻とリバウンド」 作者: TATATO (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/357
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海尾航(ウミオワタル)と友人が太平洋横断に挑戦するために乗り込んだボートを巨大な嵐が襲ったのは、全く突然の事であった。激しい横波を受けたボートは呆気無く転覆し、二人は為す術も無く大海原に放り出された。

次に海尾が目を覚ました時、彼は砂浜に一人で倒れていた。海尾はフラフラとしながらも徐に起き上がると暫く友人の姿を求めて辺りを彷徨したが、それは徒労に終わった。それどころか、数時間歩き回っても尚、どこにも人影一つ見当たらなかった。事ここに至って漸く海尾は自分が無人島に流された事を悟り、暫しの間途方に暮れた。だが何もせずにいればそう長くもたない事は想像に難くない。海尾は何とか自らを奮い立たせ、無人島での生き残りに挑む事にした。

そうして改めて辺りを散策すると、幸いな事に島内には川が流れており、泥の味にさえ目を瞑れば飲み水の心配は不要である事が判明した。また、何とか人間が食べられる果物や植物が僅かながら存在していたのも幸運であった。少ないながらも食べ物と飲み水の確保に一応の目処が立つと、次に海尾は倒木や小枝、大きめの葉っぱを集めてきて、簡素な小屋を作り上げ、そこを寝床とする事にした。これで数日は暮らせるだろう、その間に救助が来れば……海尾はそんな見通しを立てていた。しかし残念ながら、それは甚だ甘い考えだった。1週間経っても2週間経っても救助などやっては来なかった。3週間が経つと海尾は救助を待つ事を諦め、4週間が経つと手に入る食べ物も少なくなってきた。実のところ島には小動物も多く生息していたのだが、捕獲したところで火が無いため焼いて食べる事も叶わず、充分な栄養を摂取する事が出来なかった海尾は日に日に窶れていった。

そして2ヶ月が経とうとした頃の事だった。海尾が島の奥の森で木の実を採取して浜辺に戻ってくると、彼の住処である小屋が燃えていた。海尾は呆然と立ち尽くした。そうして立ち尽くしている間に、小屋は完全に焼け落ちてしまった。愕然としながら小屋のあった場所に歩み寄ると、そこには思いもかけない物が落ちていた。煙草の吸い殻である。これが火事の原因であろう。更にその傍らには見覚えのある煙草の空き箱も見つかった。心当たりは確かにあった。何故ならば、いつも友人が吸っていた銘柄だったからである。無論、吸い殻も空き箱も数時間前に小屋を離れた時には無かった物だ。海尾は悟った。友人もこの島に流れ着いていたのだ。流れ着いて、正に今日、この場所に辿り着いたのだ。海尾は考えを巡らせた。島に着いてから煙草を吸ったという事は、友人はまだ使用可能なライターか何かを持っているに違いない。友人と合流すれば火が使えるのだ。島に棲む動物を捕まえれば、焼いて食べる事も出来よう。肉。そう、肉を食べられるのだ。こんな貧しい食生活とはおさらばだ。そうと決まれば、まずは彼を探し出そう。そう遠くには行っていない筈だ。そして、彼から火を借りよう。それから……。まだ知らぬ肉の味を想像すると、ウミオは勢い良く駆け出した。

★★★簡易解説★★★
海難事故により無人島に漂着したウミオは火を起こす事が出来なかったため肉類を食べる事が出来ず痩せていったが、木材で作った小屋が煙草の残り火で燃えているのを見てライターを持った人間が島に居る事を悟り、今後はその火を借りれば肉を焼いて食べられると考えた。


出題者:
参加するには または してください
パトロン:
アシカ人参
と 匿名パトロン 3 名
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Cindy