三年前、兄が行方不明になった。とても優しい兄で、記憶に残っている兄はいつも微笑んでいた。
私は兄とよく一緒に過ごしていた堤防に来た。
二人で坂に座り、色んな話をした。
話をしながら兄が手を掲げるとその手にトンボが止まり、それが魔法のようで私ははしゃいだ。
すると声に驚いてトンボが逃げてしまい、私が落ち込むと兄が慰めてくれたことをよく覚えている。
頭の中で思い出をなぞりながら、兄と同じように私も手を掲げるとすぐにトンボが私の手に止まった。
その瞬間、私は兄がもうこの世にはいないであろう事を悟った。
一体何故?
少女Xさんの問題なのです
転載元: 「新ラテシン 「蜻蛉ますか?問題投稿所2019」」 作者: 天童魔子 (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/3554
(´・ω・)っ チクリとした痛みが指に感じた。
指の先が熱を持っているように熱く紫色に変色していた。
どこかでこの辺のトンボには死に至る病原菌があると聞いた話しと
そういえばあの日の兄の微笑みに違和感を感じた。
そうか・・・あの日、兄はトンボに噛まれたんだ。
しかし私に悟られないようこの痛みを笑顔で押し殺していたんだ・・・・
兄はずっと私が不安がらないよう自分の死すら隠していたんだろう・・・
これはきっと罰なのだ。
兄ニシンパイをかけてきて甘えてきた私への罰なのだ。
私ももうじき自分が死ぬことを悟ったが向こうで兄が私を待っていてくれているような気がした。