カメコ「そういえば、今年の夏はまだ海に行ってないわね。
カメオ、この仕事が終わったら、海に行かない?」
カメオ「いいよ、一緒に行こう。」
数日後、念願叶って、とある海に来ている二人。
カメオは可愛い女の子達がいる方に向かって「綺麗だ」と手を振ったり
その場でスキップしてみせたりと大はしゃぎだ。
一方、そんなカメオを見ながら、カメコは人知れず涙を流すのだった。
問:カメコが成し遂げた偉業を当ててください。
転載元: 「Summer Vacation(SU mix)」 作者: ZENO (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/3510
【解答】
女性初の月面着陸
【要約解説】
二人は宇宙飛行士。冒頭は打ち上げ直前の会話の一部。
数日後、子供の頃からの夢だった月面の海に立った二人。
カメオは、地球を見ながら「綺麗だ」と笑ったり手を振ったり、
月の重力を確かめるようにその場でスキップしたりしている。
一方のカメコは、夢が叶ったことに感極まって涙を流している。
【ストーリー】
(約束)
幼なじみのカメコとカメオは、一緒に星空を眺めるのが好きでした。
近所にある小高い丘から、飽きもせずに毎晩、星空を眺めていました。
ある満月の夜のこと。
カメコ「お月さまって綺麗ね。ほらあそこ、ウサギさんが餅つきしてるんだよ。」
カメオ「違うよ。あれは『海』って言うんだ。この前、図鑑で読んだんだ。
初めて人が月に着陸した時も『静かの海』って場所だったらしいよ。」
カメコ「そうなんだ、詳しいねカメオ。」
カメコ「ねえカメオ。あたし、あの海に行きたい。」
カメオはその言葉を最初は冗談かと思いましたが、
カメコの真剣な眼差しには、決して冗談とは思えない光が宿っていました。
カメオ「・・・いいよ、一緒に行こう。」
カメコ「本当!?絶対、約束だよ!」
そう言ってカメコはカメオと指きりげんまんをしました。
それはどこにでもある、他愛ない子供の戯言だったかもしれません。
しかし二人にとっては違いました。その約束はいつしか現実味を帯び、
二人は宇宙飛行士を目指して日々努力を続けるようになったのでした。
カメコの心の奥に秘めた、もう一つの願いは決して告げることなく。
(現代)
そんな二人に、世界はある奇跡を用意していました。
某大国が、長らく凍結していた人類の月面着陸計画を再開するとともに、
5年以内に女性の宇宙飛行士を月面に送るという計画を発動したのです。
二人は厳しい試験をくぐり抜け、遂に宇宙飛行士の地位を勝ち取りました。
打ち上げの直前、宇宙船内の二人の会話。
カメコ「ねえ、カメオ。あの約束、覚えてる?」
カメオ「約束?何のこと?」
カメコ「・・・ううん、なんでもない。」
カメコ「そういえば、今年の夏はまだ海に行ってないわね。
カメオ、この仕事が終わったら、海に行かない?」
カメオ「おいおい、今から僕たちは月の海に向かうんだぜ、気が早いな。」
カメコ「いいじゃない、これまでロクな休暇も取れなかったんだから。
地球に帰って来たら、思いっきり遊ぼうよ。」
カメオ「いいよ、一緒に行こう。
さ、お喋りはおしまいだ。カウントダウンが始まる。」
(数日後、月面)
ナレーター「アポロ17号以来、半世紀ぶりとなる人類の月面着陸の瞬間です。
しかもカメコは、女性初の月面着陸という偉業を成し遂げました。」
「ハロー、ハロー。カメオ、カメコ。聞こえますか。」
カメオ&カメコ「感度良好だ。」「感度良好よ。」
ナレーター「カメオ。そこから見える地球はどうだい?」
カメオ「綺麗だ、とても綺麗だ。こんな美しい星に僕達が住んでいるなんて正に奇跡だよ。
地球にいるカワイコちゃんたち、僕の声が聞こえるかい?(手を振りながら)
見てくれ、月の重力って本当に軽いんだ。月のウサギになった気分だよ!(スキップしながら)」
そんな軽口を叩くカメオを見ながら、カメコは二人の夢が叶ったことに胸がいっぱい。
それにカメコは知っています。カメオがこういう軽口を叩く時は、きまって精一杯の照れ隠しなのだと。
宇宙服のヘルメットの裏で、人知れずカメコは涙を流すのでした。
ナレーター「そしてカメコ。貴方は女性初の月面着陸を成し遂げました。おめでとう。」
カメコ「ありがとう。正直言って全然実感が湧かないけど、光栄だわ。」
ナレーター「女性である貴方がそこに辿り着くのは人一倍の困難があったと思うけど、
それを乗り越えられた原動力はいったい何だったのでしょうか。」
カメコ「そうね・・・。子供の頃のつまらない約束よ。
もっとも、当の本人はとっくに忘れちゃってるみたいだけどね。」
ナレーター「二人ともありがとう。もう時間だけど、最後に言いたいことはあるかい?」
カメオ「ああ。カメコに一言だけ言わせてもらえるかい。今しか言えないことなんだ。」
「約束守ったよ、カメコ。月が綺麗だね。」
その瞬間、カメコは子供の頃からのもう一つの願いも叶ったことを知ったのでした。