カメオは画家だった。
彼は、実際に目にした風景を、どこまでもリアルに描く画家だった。
彼は特に、綺麗な青空の絵を描くのが好きだった。
そんな彼が、青空の絵を描くことが出来ると喜んでいる
なぜ?
転載元: 「空が灰色だから」 作者: tomo (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/3497
画家のカメオは、風景画を、特に青空を描くのが好きだ
まるで本物の空の、その最も美しい瞬間をそのまま切り取ってきたかのような綺麗な色遣い。カメオの青空の絵は、多くの人々を魅了した
そんなカメオが、もう画家を辞めてしまおうかと思い詰めていた。
理由はたった一つ。
最近発明された、『カメラ』という代物。どうやら、実際の景色をそのまま写し取ることが可能らしい。
だとすれば、自分の描く絵など全く無意味なものになる。自分の絵は、そのリアルさが評価されていたのだから。
そんなある日、彼は新聞の広告で、その『カメラ』が描き出した『写真』という物を、初めて目にした。
それは奇しくも、雲一つ無い青空の写真だった。
その空は、灰色だった。
どうやら『カメラ』は、白と黒の二色しか色が使えないらしい。
これなら、何色もの絵の具を駆使する自分の絵は充分やっていける。
もちろん、鮮やかなコバルトブルーを使った青空の絵も描いていける。
カメオは喜んだ