某日、N国で「Cindyレモン」という清涼飲料が発売された。
「たった2本飲むだけで、なんとレモン100個分!」
インパクトのあるキャッチコピーは大衆の心を鷲掴みにし、この商品は爆発的な売り上げを記録した。
しかしある男から、このコピーは誇大広告であり、実際は15個食べただけの効果しか見込めないと苦情が寄せられた。一体どういうことだろう?
転載元: 「レモンだ?貴様このやろう」 作者: アシカ (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/3419
【真相】
「Cindyレモン」は、「レモン100個分のビタミンCが取れる」と謳れていた。
ただしその計算は、レモン1個あたりの果汁から導かれたものであった。
そして男は、レモン1個丸ごとにおけるビタミンCの含有量から、コピーに異を唱えたのである。
【詳しい解説】
Cindyレモンは、「果汁100%」の清涼飲料である。
Cindyレモンの開発元であるシンディ社は、Cindyレモン1本あたり50個のレモン分のビタミンCが含まれていると謳っている。
⑴ N国で収穫されるレモン1個あたりの重さは、平均120gである。
⑵ N国食品標準成分表から、レモンのビタミンC含有量をみてみる。
【レモン1個の果汁におけるビタミンC】
レモン(全果実に対する果汁分30%)100gあたり50mgである。
⑴から、レモン1個(レモン果汁)あたりのビタミンCは、
120g(レモン1個重量)×30%(果汁分)×50mg(ビタミンC)/100g(果汁)=18mg となる。
【レモン1個の全果実におけるビタミンC】
レモン(全果実100%)のビタミンCをみてみると、100gあたり100mgである。
⑴から、レモン1個(全果実)あたりのビタミンCは、
120g(レモン1個重量)×100%(全果実)×100mg(ビタミンC)/100g(全果実)=120mg となる。
⑶ シンディ社では、飲料のビタミンCを計算する際、【レモン1個の果汁におけるビタミンC】を用いている。Cindyレモン1本(500ml)あたり、およそレモン50個分のビタミンCが含有されている。言い換えると、Cindyレモン1本には、900mgのビタミンCが含有されている。
ただし、この900mgを【レモン1個の全果実におけるビタミンC】で割ると、
900mg÷120mg=7.5となる。
つまり、全果実で計算してしまうと、Cindyレモン1本(500ml)あたり7.5個のレモンしか使われていないということになってしまうのだ。これを2倍すると、Cindyレモン2本(500ml)あたり15個である。よって男は、果汁計算のシンディ社に対し、全果実計算の立場から異を唱えたのであった。
なお、N国の清涼飲料業界では、レモンのビタミンCを果汁計算で表記するとしているため、シンディ社のコピーは誇大広告にはあたらない。ドヤ顔でクレームをいれた男は赤っ恥をかき、「わたしのことなどどうか忘れてください」と心から願ったとか。