あの娘が好きで好きでたまらないので、あの娘の電話を無視した。
どうして?
りんねさんのリサイクルです。
転載元: 「【蝸牛ますか?リサイクル】電話に誰も出んわ」 作者: エルナト (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/3322
ピリリ、ピリリ──
薄暗い放課後、学校の廊下を歩いていると、何処からか携帯電話の着信音が聞こえてきた。
キョロキョロと見渡してみると、それは女子トイレの入り口の所に落ちていた。
可愛らしいピンク色のスマホケース、背面に貼られた猫のキャラクターのシール。
あ、あのスマートフォンは!間違いなく憧れのカメコちゃんのだ!
こんな所に落としていくなんて、今頃困っているに違いない。
届けてあげなくては──ありがとうと満面の笑みでお礼を言うカメコちゃんの顔を思い浮かべながら彼女スマートフォンを拾い上げようとして、カメオはふと思いとどまる。
待てよ。
もしも、彼女がトイレに忘れたことを覚えていたとしたら?
女子トイレの中入ったのと嫌われてしまうとしたら?
いや、そもそもなんで私のと分かったのと気持ち悪がられるかもしれない。
じゃあ職員室に届ける?でも先生にだって、おまえが盗んだんじゃないのか、なんて疑われてしまったら──。
カメコちゃんのことが大好きであるが故に、要らない不安でいっぱいになってしまったカメオは、そのままスマートフォンを拾うことなく通り過ぎてしまうのであった。