昔々あるところに、邪智暴虐なる王女がおりました。彼女は絢爛豪華な調度品、酒池肉林の食生活を求め、そのために民たちは重く苦しい税を課せられました。彼女の元には幾度も困窮する民が嘆願に赴き、その度に粛清されていました。ある時、生活が苦しく今日食べるパンすら無いのだという男に対し、王女は「パンがないならエスカルゴを食べればいいじゃない」と言い放ちました。そんな王女に男は「なんて立派な王女なんだ!」と感服したのだといいます。一体何故でしょうか?
~No.3 かきくりーむけろっこさんの作品です。~
転載元: 「【蝸牛ますか?リサイクル】やっぱり王女様はドSなお方」 作者: dyty (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/3273
【答え】
「パンの元となる小麦類を食い荒らすネズミ達が困窮の根源なのだから、同じくネズミの餌となるエスカルゴを養殖し、囮にすればいい」という、王女の言葉の真意に気が付き、小麦の生産量が復活したから。
【ストーリー】
嘆願を聞いていた王女様の顔は、非常に退屈そうでした。もう数え切らないほど、この様な訴えを耳にしていたからです。王女様は男の嘆願を話半分に聞きながら、別の事を考えていました。そしてある妙案を思いついたのです。
王女「そうよ、パンがないならエスカルゴを食べればいいじゃない!」
男「そ、そんな…」
男が絶句したのも無理のない話で、この国ではそもそもエスカルゴは食用と考えられていなかったのです。自分たちは明日をも知れないというのに、なんと惨いことを仰るのか、と内心憤った男でしたが、その考えは次の王女様の言葉で改められることとなりました。
王女「あら、あなたが食べるの?」
男はハッとしました。そうか、よく考えてみれば、農地も広く作物豊かなこの国で、どうしてパンも作れないほどに小麦の量が減っているのか。そう、本当の問題はネズミの害にあったのです。そして王女様の仰ったエスカルゴもまた、ネズミの食べ物でした。
王女様の真意に気が付いた男は村に帰ると、さっそく村の農地を囲うようにエスカルゴの牧場を作ることにしました。するとどうでしょう。農地を狙ってやってきたお腹を空かせたネズミたちは、エスカルゴを見つけるとこちらに夢中になり、お腹を満たすと小麦には目もくれず帰っていくではありませんか。
これを見て男は「王女様は仰っていたのはこの事だったのだ。なんと聡明で立派なお方だったのだろう」と感じました。そして国中にこの村の事、そしてエスカルゴの事が広めてまわり、見事苦しんでいた人々を、そしてこの国をネズミの害から救ったのです。
めでたし、めでたし。
王女様が本当は何を考えていたのか、それはまた、別のお話。