汗かきのシン太郎は近くのディスカウントショップの段ボール内に雑然と並べられたペットボトル飲料をよくまとめ買いしている。
その日も妻のカメコが娘のソメコを連れて散歩から帰ってくると、シン太郎の目の前に何本かのペットボトルが置かれていた。
カメコはまた買ってきたのかと思っていたが、娘のソメコが「汗かいてるよ!」と言ったので、ふと壁の方を向いて、シン太郎が買ったのはペットボトル飲料ではないことを悟った。
見渡す限り彼の買った物は見当たらないのだが、彼はいったい何を買ったのだろうか?
※質問数制限はありません。
転載元: 「僕と君と、そして娘と。」 作者: エルナト (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/3224
いつものように、カメコは娘のソメコを連れて散歩に出掛ける。
休みの日はいつも遅い時間まで夫のシン太郎は眠っているので、彼を置いて二人だけの散歩。
公園へ行き、近所の子供達と遊ばせている間、ママ友とお喋り。
気が付けばお昼が近づいており、そろそろ帰らなければと家に戻る。
流石の夫も既に起きていて、彼は優しくおかえりと微笑んでくれた。
「ただいま」
カメコもそう言って笑顔を返す。
と、机の上に500mlのペットボトルが何本か置かれていた。
汗かきで水分をよく飲むシン太郎は、近くのディスカウントショップの段ボール内に雑然と並べられたペットボトル飲料をよくまとめ買いをしている。
2Lなど大きめのものを買った方がお得なのに、会社にも持って行きやすいのといろんな味を買い揃えやすいとの理由で、彼が買うのはいつも500mlサイズだった。
「また買ってきたの?」
散歩に行っている間に出掛けたのだろう、そう言えば彼がいつもの寝巻きにしているジャージから私服に着替えていたことに気付き尋ねた。
「え、あぁ、まぁね」
何故か動揺したように見えたが、気にしないことにした。カメコが「また」という言い方をしたので、咎められているとでも思ったのだろう。別に、いつものことじゃない。そんなことで怒りませんよ。
そう思っていると、突然娘のソメコはペットボトルを指差して言った。
「ねぇ、パパ、ママ、汗かいてるよ!」
「汗?」
見ると、ペットボトルは結露し水滴がたくさん付いていた。それをみて、ペットボトルが汗をかいていると思ったのだろう。
「そうね、本当、今日は涼しいのに……ね……?」
言いながら、カメコはその違和感に気付いた。
何故だろう。
何故、このペットボトルは結露するほど冷えているのだろう。
いつものディスカウントショップのペットボトル飲料は、段ボール箱に入れられており、冷やされていない。
しかし、今机の上にあるペットボトルは、確実に冷やされていた物だ。
つまり、つい先程まで冷蔵庫の中にあったことになる。
では、何故シン太郎は冷蔵庫の中のペットボトルを外に出したのだろう?
ハッとしたカメコは、壁に掛けられたカレンダーに目をやった。
そうか、今日は──。
「とびきりのご飯を用意しなくちゃね」
カメコが言うと、シン太郎は照れ臭そうに笑った。
「あーあ、バレちゃったか。せめてペットボトルの水滴、ちゃんと拭いとくんだったなぁ。隠す時間も無かったし」
恥ずかしそうに頬をかくシン太郎を見て、カメコは微笑む。
さて、そうと決まれば、買い物に行きますか。
今日は腕によりをかけたご馳走を作らないと。
冷蔵庫の中に大切にしまわれた、彼からの感謝の気持ちを無駄にしないような、そんなご馳走を。
***答え***
結婚記念日を祝うケーキ
※誕生日でも可とする。
※冷やすものかつお祝いの意味が含まれていればケーキはシュークリームなどでも可とする。
※元ネタは某長崎出身のイケメン歌手の歌詞より。
※娘の名前は某見た目は子供の名前逆読みより。