そしてカメオはいなくなった

カメオが入れられた海亀収容所には奇妙な噂がある。
まず、牢のトイレがなぜかよく詰まる。今月に入ってもう6回目らしい。
そして決まってその度に、人がいなくなるという。
カメオはその噂の真相に辿り着き、そしていなくなった。この噂の真相は？

カメオはとある罪で、海亀収容所に送られてきた身である。カメオは同じく囚人のウミオから例の噂を耳にした。一笑に付したカメオだったが、数日後、カメオが朝の点呼から牢に戻ってくると、牢内のトイレが水詰まりを起こし、牢内が水浸しになっているのを目撃した。

そんなバカなと思ってトイレの中を確認してみると、そこには大量の土砂が詰め込まれていた。その時、ふとカメオは、今朝の点呼の時、ウミオが遅れてやって来て、看守に怒鳴られていたのを思い出した。

そこでカメオは、ウミオが脱獄のため穴を掘っている事、そしてその余った土砂を、隠すのではなく他の囚人のトイレに流し込み、看守の目を欺きつつ、罪をなすりつけていたことに思い至る。行方知れずになった囚人はそれが原因か、と歯ぎしりをするカメオの背後から看守の怒声が飛んできた。恐らくウミオの密告に違いないだろう。だが、気が付いた時には全てが手遅れだったのである。

その後カメオは加重逃走罪を加えられ、より警備の厳重な羹収容所へと護送されていったということだが、海亀収容所内の囚人たちには、当然知る由もない。