いのちの秤

とある映画のラストシーン。
崖から落ちそうなヒロインの手をしっかりと掴む主人公。
しかし次の瞬間、ヒロインの様子を見た彼はその手を振り払ってしまった。

一体なぜ？

主人公である男は、今まさに崖から落ちようとしていた。

『絶対に離さないで！』
男の手を掴んでヒロインが叫ぶ。
男もしっかりとヒロインの手を掴みかえす。
しかしその時、彼は気づいた。

女性一人の力で男を支えるのは難しく、このままでは彼を助けようとするヒロインまで一緒に落ちてしまいそうなのだ。

彼はヒロインの手を振り払い、崖下に消えた。