男の家の前を,客を乗せたバスが一日に何度か通る.
男がバスに近づくとバスは男のそばに停車するのだが,男はそのバスに乗るでもなく毎回家へと引き返していく.
なぜ,そんなことをしているのだろう?
転載元: 「リアリー・リアリー・マン」 作者: 丼 (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/2827
【解説】
自分の家の中,男は空腹で寝転んでいた.
柱と屋根だけの粗末な造りの家で,風が痩せた身体に堪える.
バスの音が聞こえると,男はのろのろと起き上がり家の外へ出た.
男がバスに近づくと,家から少し離れた道の上でバスが停車した.
男の姿を間近に見た乗客たちは,興奮してキーッ,と悲鳴をあげた.
しばらくの間,男は金網がつけられたバスの窓から中を覗き込んでいたが,
乗客たちが何もくれないとわかると,無言で背を向けて家に引き返していった.
カメラを構えていた乗客の一人が,それを見てフホッ,と不満げに鼻息を漏らした.
走り去るバスの車体には,男の知らない文字でこう書かれていた.
「ニンゲン・サファリパーク」