窓の向こうの彼は、脇目も振らず必死に自転車を漕いでいた。
精一杯電車と並ぶけれども、ゆっくり離されていく。
追いつけるわけないよね。
だけど、私たちが数十キロ先のシンディ市についたのは同時だった。
なんでだと思う?
転載元: 「車輪の唄」 作者: アシカ (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/2596
【解説】
俺は必死に自転車を漕いだ。
まだ、伝えてないことがあるんだ。
脇目も振らず、ただただ必死にペダルを踏んだ。
あいつのことしか考えられなかった。だから、
右折してきた車に思いっきり突っ込んでしまい、数十メートルも跳ね飛ばされた。
そこから先の記憶はない。
どうやら、あいつが電車を緊急停止させて救急車を呼び、シンディ市にある救急病院まで付き添ってくれたらしい。
幸い、うまい具合に土手を転がり落ちたらしく、奇跡的に後遺症は残らなかった。
一生会えなくなるところだったと、ものすごい剣幕で怒られた。
今でも、命の恩人となった妻には頭があがらない。
【要約】
脇見運転で自転車をかっ飛ばしていた彼は、交通事故にあって吹っ飛ばされた。彼は「私」が呼んだ救急車に搬送され、付き添いの「私」とともに、シンディ市にある救急病院まで向かったのである。