夏が終わり秋が始まるころ。
風景画を描くことが趣味のカメコは、感情豊かに会話するカメオと素っ気なく手短に返事するウミオを見比べて、『今後、カメオよりもウミオの方が話しやすそうだ』と推測した。
カメコはどうしてそのように考えたのだろうか?
転載元: 「コミュニケーションに必要な要素、ならびに、その条件取得についての考察」 作者: 鋭利な鈍器で絞殺 (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/2475
保健室での一コマ。
「右。いや下かな?」
「今のは右で合ってたぞ。次はこれ」
「あー、うーんと、どっちかなあ。……すみません、分かりません」
「視力検査でそんなに申し訳なさそうにする必要はないぞ。カメオ、『右左0.1』」
「ああ、目がまた悪くなった」
「右」
「じゃあこれは」
「上」
「ウミオ、『右左1.2』」
「はい」
新学期が始めって2日目に身体測定が行われた。
教師によっては視力検査の結果を席替えに反映することがある。
視力の悪い生徒は前へ、視力の良い生徒は後ろへ。
その方が授業を進行するのに都合が良いからだ。
スマートフォンやパソコンが普及したせいか視力の悪い生徒は多く、明日予定されている席替えで少なからず影響が出そうだった。
それはつまり、視力の悪いカメオと視力の良い生徒は、隣の席にならず離れ離れになる確率が高いということだ。
「わざと間違えればよかった」
風景画を描くことが趣味で遠くを見つめることが多いカメコは、1.2という数字が書かれた自身の測定表をつまらなそうに眺めた。