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その背中には重すぎる

[ウミガメのスープ]

その少年は、学校でクラスメイトや先生からシュウジと呼ばれている。これは彼の本名ではないのだが、彼自身がそう呼ぶよう、皆に頼んでいるのだという。

では、彼の本当の名前は何だろう?


出題者:
出題時間: 2018年10月2日 23:45
解決時間: 2018年10月3日 0:19
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転載元: 「その背中には重すぎる」 作者: az (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/2340
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答:シュウイチ

今は自ら"修二"を名乗る亀田修一が産まれる、それは一年ほど前のことだった。
亀田夫妻に産まれた初の子ども、修一が、一歳にも満たぬまま亡くなった。両親の不注意による事故が原因だったという。夫妻はそのことを深く悔やみ、悲しみ、恥じた。
程なくして夫妻に産まれた二人目の子どもは、奇しくも男の子。修一を失った悲しみの癒えぬ夫妻は、産まれた子どもを修一と名付けた――もう一度、今度はちゃんと育ててあげるために。

そうして、"修一"と名付けられ、育てられた少年が真実を知るのは、11歳の誕生日。父がポツリと漏らした独り言――「修一も本当は12歳だったんだな」――を偶然聞いてしまったことがきっかけだった。
本当は? 12歳? 疑問に覚えた彼がこっそり調べ、自分が産まれる前に亡くなった兄・修一の存在を知るのに時間はかからなかった。それが何を意味するのかを理解するのにも。

自分の前にいた修一。自分と同じ名前の修一。
自分は兄の"代わり"なのだろか。兄の修一は、自分が産まれたことでいなかったことになってしまったのか。

違う、と少年は答えた。自分は他の誰でもないし、ごく短い間でも、兄は確かに生きていたのだ。

自分は"修一"ではない。修一がいて、自分がいる――だから自分は、修二だ。
その日から彼は、自らを修二と名乗るようになった。先生に事情を話し、クラスメイトに話し、自分のことはそう呼ぶよう頼み込んだ。自分が"修一"と呼ばれるのは、兄のことも、自分のことも、どちらをも否定するようで我慢ならなかった。勝手に他人の人生を背負って生きてなどいけなかった。

両親は未だ、彼のことを修一と呼ぶ。彼は返事をしない。





彼の本当の名前は何だろう。


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パトロン:
アシカ人参
と 匿名パトロン 3 名
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Cindy