見られる筈のないあの子の顔が存分に見られたので、カメオはその後眠ったふりをして過ごした。一体どういうことだろう。
spはさるぼぼさんです。
転載元: 「暗」 作者: かきくりーむけろっこ (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/2250
退屈な授業中、僕はあの子の横顔を見つめていた。なんだかいつもより可愛いなぁ、なんて思いながら、授業が進んでいくのを横目に、ただ彼女を眺めていた。授業は滔々と進んでいく。板書が消され始める度に慌ててノートをとりながら、それでも懲りずに彼女を見ていた。
しばらく彼女を眺めているうちに違和感を覚えた。彼女の横顔が、ずっと見られる筈がないのだ。授業が進んでいるのだから、板書に合わせて顔の向きも変わる筈なのだ。
(もしかして、彼女も僕と同じように誰かのことを見つめてる?)
そう思って彼女の視線の先を追いかけると、そこにはウミオがいた。
学校で、みんながいる中でいきなり泣くことなんて出来ない。けれど頭は考えるのをやめてくれない、溢れる感情が押し止められない。僕は咄嗟に腕の中に顔を伏せた。こうすれば他の人に見られる事もない。目が赤くても寝不足で、涙の跡も欠伸で言い訳ができる。大丈夫、大丈夫……。
真っ暗になった筈の僕の視界からは、決して僕には向けられる事のない表情をした彼女が中々消えてくれなかった。